あまりに快適で、本日、マンション管理組合の臨時総会(理事長なんだもん…とほほ)がなければ、まだ、はまっていたかも・・・。

007シリーズなどのスパイ映画は荒唐無稽さが楽しいわけだけれど、現実世界は遥かにフィクションを凌駕した荒唐無稽さがまかり通っていることに仰天!
ドイツ情報局に飛び込んだたった一人のウソつきなイラク人による不確かな情報が、CIAにより「イラクが大量破壊兵器を隠している」という“確かな情報”となり、戦争の大義とされ、戦争を引き起こし、今なお終息が難しい混乱が続いている過程を当事者たちへ徹底的な取材を行うことで克明に綴ったノンフィクション。著者は、ピューリッツァー賞など多数の受賞歴をもつロサンゼルス・タイムズ紙の記者ボブ・ドローギン。
情報に対する姿勢や取り扱いのあまりのいい加減さにスパイものの下手なフィクションかと錯覚してしまうほどだ。
相手が欲しがる情報をちらつかせ、ベンツを乗り回すリッチな欧米での暮らしを夢見る嘘つきイラク人をBND(ドイツ連邦情報局)はもてあまし、CIAとの歴史的な確執が情報に水をやり、芽を出させることに。そして、CIA内部のヒエラルキー(スパイもまた組織人間)、工作官と分析官の対立、お互いの思い込み、疑心暗鬼、ジェラシー、プライド、そして、フセインを何がなんでも叩き潰したいというアメリカ側の指導者たちの意思が成長させていく。
そして、ついに2003年2月にパウエル国務長官が、国連安全保障理事会で移動しつつ恐怖を撒き散らす「細菌トラック」の存在を認め、3月にイラク戦争開戦、5月にブッシュが「大量破壊兵器を発見できた」と間違った発言をする。
笑っちゃうのが「細菌トラック」。細菌を移動しながらつくり、好きなところで撒き散らすことができるとされるトラックをイラク国内でCIAは血眼になって探しまくる。が、出てくるのは種子処理施設や製氷工場だったり、移動木工所だったり。
なのに、一方では大量破壊兵器は確実にあるとされていく。
生物兵器を埋めた場所を知っているという部族長の言葉を信じて、数ヶ所掘ってみたが出てこなかった。2週間後、そこには鯉がうじゃうじゃ泳いでいて養殖場になっていた、なんてことも。
CIAには「サソリ」なんていう名前の秘密軍があって、将校たちは自分たちのニックネームを「ワニ」とか「コブラ」などと誇らしげに使っていたというまるでマンガみたいなこともあった。
高性能とされる最新翻訳ソフトは、手描きのアラビア文字にクラッシュしまくり、超多忙の翻訳官はソフトの後始末でより多忙になる。
カメラ会議にわざわざ設置された音声反応式のテレビカメラは、声を追って移動するカメラがほんの小さな咳でも動きまくるため、ハイテク自動頭痛製造機になってしまう。
まるでお笑いCIAなのだ。
そして、ものすごく意外というか、あほらしいというか、へーー!そうなの!と驚いてしまうのが、戦争前も戦争後もCIAはイラク人のスパイを一人もゲットできていなかったということ。そして、情報源の嘘つきイラク人に戦争前に一度も会ったこともなかったということ。
莫大な費用をかけた諜報活動はいったいなんなの?
本文中にある「自分たちの仮説に合わせて証拠を調整してしまう」「それは真実であるにちがいない。なぜなら自分たちが正しいことを証明してくれるから」。こんな論法で動いているというのが事実なのだ。
いやはや、世界はなんとあやふやなものなのだろう…とため息混じりに大豆畑に出てみると、みっちゃんとセトヤマさんが炎天下の中、草刈と虫取りに励んでいた。自然農法を実践中の二人にとって、人の手の力と自然の営みこそがリアル。


そんな世界を垣間見させてもらっていることに感謝、感謝。
情報収集・分析・評価・防諜・謀略をインテリジェンスとまとめていうそうだが、バーチャルな情報がますます膨らんでいく今日このごろだからこそ、そんなものがますます必要になってくる。なんと嘘つきイラク人はネットで得た情報をしゃべっていたのだから、本末転倒もいいところ。そんな泥沼の中には絶対足を踏み入れたくないものだとつくづく思う。でも、そんなワナは戦争だけでなく、身近なところにいっぱいある。例えば、ネットにある食品の効能なんてコピー&ペーストだらけ。まったく同じ文章をみかけることもしばしば。どこが最初の情報の出所なんだか、正しい情報なんだか皆目検討もつかない。
種から芽が出て、花が咲き、実をつけるという情報でもなんでもない、事実だけの世界がいいなあ。

三鷹農クラブ二坪畑の本日の収獲。
セトヤマ先生に「よくできている」とほめられちゃった。
水やりだけで、ほとんど何もしていないんだけど。
もちろん無農薬!