北京オリンピックの開会式は物量パフォーマンスでしたねー。
これから中国がこんなふうにモノを浪費していくのかと思うとぞっとしました。
でも、我々もすでに半世紀先に地球資源を浪費しまくっているわけで・・・。
「人類が消えた世界 THE WORLD WITHOUT US」
アラン・ワイズマン著 早川書房
とてもとてもショッキングな本です。
ある日、突然、人類が消えたとしたら・・・そんな仮定のもとに人類の足跡と「遺産」の変化を冷静に見据えたノンフィクション。
地球を何度も破壊できてしまうほどの核を所有し、その拡散が危惧されていることや、細菌の爆発的な増殖によるパンデミックが脅威となっている今、人類が突然、消えてしまうとはまではいかなくても、激減するということは充分考えられる。そうしたときに何が起きるかを考えることは、何をしてきたかを検証することでもある。
この本によると、人類の足跡は、ほかの生物の虐殺と砂漠化の歴史だ。
アメリカ大陸を例にとると、大型の哺乳動物の化石があり、どれも骨や歯がバラバラになって洞窟に蓄積されている。
地上性ナマケモノ、野豚、ラクダ、馬などが数百万におよぶ動物が絶滅したのはなぜか。
一つの説として、ホモサピエンスが進化し、アフリカとアジアを出て、北米に到達した後に大型動物が消えていった。
食べ尽くしちゃったのだ。
上陸するだけで病原菌を持ち込み、激減することもあった。
例えば、スペイン人が上陸した当時のメソアメリカ人は2500万人いたとされているが、100年後には100万人しか残らなかった。
原因は天然痘、はしか、腸チフスなどの病原菌に免疫がなかったため。
唯一、持続可能な暮らしはマサイ族の牛を放牧しつつ、移動することで低木が育ち、それをゾウが食べることでまた牧草地になるというもの。
この循環が崩れたときから、持続可能ではなくなることが現在までのアフリカの自然の推移で証明できてしまうらしい。
いやはや、我々は存在そのものが持続可能じゃないということ。
それに多すぎる。生物としての人間はすでに多すぎるのだ。
現在65億人の人口は、今世紀半ばには90億人になるのだから。
おまけに人類が築いてきた文明とやらの脆弱なこと!
埋立地であるニューヨークの地下は地下水であふれていて、ポンプが作動しなくなれば、すぐに水浸しになる。
放射能の残存に関してはすでに45億年かかるというのは有名な話だけれど、人類がつくりだした自然界に存在しないプラスチックは海を漂い、どんどん小さく砕けて、海洋生物の体の中に取り込まれつつあるということには仰天!粉のようになれば、動物プランクトンまでが飲み込むようになる。もちろん消化はされない。
なんと女性用の基礎化粧品や練り歯磨きにはすでにそうしたプラスチックの小さな顆粒が研磨剤などとして含まれていて、海にたれ流されている。
毎日、ふつーに息をして、平凡に暮らしているつもりでも、少しずつ自らの生存を脅かすことを積み重ねていて、それが加速していっている。
人類に今、一番必要なことは「自律」と産児制限。
昔の人たちはわかっていたんでしょうねぇ。
自分たちはヤバイ存在だぞって。
だから、自らを律する意味で祭をしたり、儀式を執り行ったりしていたわけ。
そして、このどうしようもない生き物に「神」や「闇」が目を光らせて「恐れ」を抱かせていたけれど、今ではなーんにもないですもんねぇ。
小子化も生物としての必然かも。
目からウロコだらけの本書だけど、一番の目ウロコは「電波は進みつづける光と同じで消えることがない」ということ。
例えばテレビの電波は宇宙に向って飛び続けるらしい。
その電波をキャッチした宇宙人が、地球をどう思うかは、届いた番組次第?
そうそう、人類が絶滅したとしたら、次に台頭してくる可能性が高いのはヒヒだそうで、「猿の惑星」になっちまうようです。
かなり力を入れて読んじゃいました。2100円。価値あります。