2008年11月13日

800年の時を越えて伝わるやまとうたのこころ

NHKハイビジョンの11月のテーマは「京都」です。
今夜は「冷泉家の800年 和歌の心」でした。

すごくよかったです。
三十一文字(みそひともじ)に託された和歌(やまとうた)の心を800年間伝え続けている冷泉家は、明治維新に明治天皇とともにほとんどの公家が東京に移転していったときも、京都御所の向い側にある屋敷から動きませんでした。それにより、蔵に入った貴重な国宝は震災からも、空襲からも守られたのです。
空撮で見ると、御所の前に今でも冷泉家の屋敷だけが、昔のままの佇まいでビルの谷間に残っています。
その風景を見るだけで800年という時のものすごい重みを感じずにはおられません。そして、時代の荒波をいくつも越えて、よくぞ定家から25代続いてこられたものだと。

番組の中で四季折々の行事を淡々と執り行う冷泉家の人々の様子が撮影されていて、雅だけれど、日々の暮らしに息づく一つひとつの動作がすべて時を経て積み重なってきた文化そのものなわけで、これを伝えていくことの大変さも垣間見せてもらいました。

今も行われている七夕の行事の雅なこと!
器に水をはり、葉を浮かせて、満天の星をそこに映してみたり(今は無理でしょう)、天の川に見立てた布を挟んで男女が座り、恋の歌を交し合ったり。
かつては夜通し、歌を詠みあったとか。

冷泉家は和歌の心を伝えることが先祖から託された使命。
先祖の、百人一首の選者である藤原定家の古今和歌集や、その父の俊成の古来風躰抄も、直筆があるというすごさ。
歴史そのものです。

古今和歌集の冒頭にある定家による和歌の定義は文化というものが人にとっていかに大切なものであるかを明確にわかりやすく述べていて、思わずメモをしてしまいました。

やまとうたは 人のこころのたねとして 
よろづの言の葉とぞなれりける

花にうぐいす 水にすむかはづの こえをきけば 
いきとしいけるもの いづれかうたをよまざりける

ちからをも いれずして あめつちをうごかし
おとこおんなの なかをもやはらげ
たけきもののふの こころをもなぐさむるは
うたなり


また、俊成も古来風躰抄で和歌の心を述べています。

春の花をたづね
秋のもみぢを見ても
うたというものなからましかば
色をも香をも知る人もなく
なにをかはもとのこころともすべき


今夜は言葉と文化の力を再認識させられた夜でした。
今後も見ごたえのありそうな「京都」ものが目白押しのハイビジョンです。録画予約しまくりです。

秋も深まる中、私のもっとも好きな歌人 西行の一首を。

心なき身にもあわれはしられけり
鴫立つ沢の 秋の夕暮れ
posted by 風土倶楽部 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする