2013年12月08日

観賞日記 頭痛肩こり樋口一葉

この夏に上演されたこまつ座の「頭痛肩こり樋口一葉」がBSプレミアムで放送された。
2時間30分の大作。

以下、公演サイトより。

「二十二の短編と四十数冊に及ぶ日記と四千首をこえる和歌の詠草を残し、二十四歳六ヶ月で夭折した明治の天才女流作家・樋口一葉と、様々な境遇を背負った五人の女性が織りなす、切なくて、楽しい幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる物語・・・。
栗山民也の新演出で今、甦る。
一葉十九歳から、死後二年までの盆の十六日に焦点をあて、井上ひさしがこまつ座旗揚げ公演で書き下ろした樋口一葉の評伝劇」

>切なくて、楽しい幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる物語
とあるけれど、切なくて、悲しい・・・の方がぴったりくるかも。

最後の方で愛華みれが歌う歌がとってもよかった。録画だから、歌詞がメモにできた。脚本を買えば、いいのだけれどね(笑

わたしたちのこころは
あなのあいたいれもの
あなだらけのいれもの
いきていたころの記憶が、そのあなからこぼれていく
いきえていたころの思い出が、そのあなからこぼれていく
あなというあなから ぽろぽろこぼれていく
こぼれた記憶もちらばる
宇宙にこぼれてちらばる
こぼれた思い出もちらばる
すべての記憶がこぼれおちると わたしたちはいなくなる
すべての思い出がこぼれおちると わたしたちはいなくなる

たまたまかもしれないけれど、同じ井上ひさし作の「イーハトーボの劇列車」もまた、あの世とこの世をつなぐ話だった。
女性がまだ、生きるのが大変だった時代が舞台。お金に、世間に、男に翻弄される女たち。

若村麻由美扮する花蛍という幽霊の恨み探しが面白い。
自分が死ななければならなかった理由を忘れちゃった幽霊。だから成仏できない。
そこで一葉が調べてやると、苦界に身を置いていた花蛍を助けるために恋人の男が身受けしようと工面した金を落としてしまい、それを拾った婆さんがその金を取ってしまい、二人は破滅にということが判明する。
そこでその婆さんにとりついてやると出かけたところ、金が必要だった理由がだまされて金を取られて・・・で、また、そのだましたやつのところに行けば、また、そこにも悪いやつにだまされた理由があって・・・と結局辿っていったら、天皇夫婦に辿りついてしまう。
これじゃあ、世の中全体を恨まなくてはならないとあきらめようとする花蛍に、一葉が
「小説で世の中全体にとりついてやったような気がする」
「因縁の糸の網に戦いをしかけてやっているような気がする」
という。

録画した公演は、何度も気になるところを繰り返し観られるところがイイネ!

一葉も、母も、友人たち二人も、あの世に行ってお盆に幽霊になって戻ってくる。
一葉の妹の邦子だけが最後に残り、みんなが残した借金の取りたてから逃げるために引っ越しをしていく。その重荷を象徴するような大きな箪笥を背負って。
邦子、がんばれっ!と思わず、涙。
弱者であった女たちが命をかけて、築いてきたものの上に今の社会、女が元気な現代の社会があるのよねぇ。

公演のあとに、井上ひさしの初演のときのインタビューが15分間くっついていた。
脚本はぎりぎりになって仕上げたとのこと。
女たちへのエールなんだそうだ。

ちょっと意外。1991年ごろは、まだ、エールが必要だったのね。
今は、男たちにこそエールが必要かも(笑

小泉今日子 三田和代 熊谷真実
愛華みれ 深谷美歩 若村麻由美

たった6人のお芝居だけれど、緊張感のあるよい公演だったと思う。
みなさん、印象に残るお芝居でした。

さて、録画した公演、削除するべきか、保存にするべきか・・・ちょっと悩むなあ。



posted by 風土倶楽部 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする