2014年02月19日

鑑賞日記 「エヴァの告白」「ほとりの朔子」

久しぶりに映画を2本。

「エヴァの告白」
ジェームズ・グレイ監督の祖父母の体験をもとに製作された非常にパーソナルな映画。
ヒロインは、故国ポーランドを逃れてきた移民のエヴァ。戦争で両親を目の前で殺され、妹と叔母夫婦を頼って米国に渡ってきたものの、叔母夫婦とうまく会えず、おまけに妹は肺病で隔離されてしまう。エヴァも、叔母夫婦と会えないため、身元引受人がいないということで送還されそうになっているときに売春も斡旋してしまう劇場の支配人のブルーノと出会ってしまう。出会うというのは正確ではなく、ブルーノがエヴァの美しさに一目ぼれし、故意に自分のところに連れてきてしまうのだけど。

妹と一緒に新しい未来を築いていきたい、ただ、それだけなのにエヴァの道はあまりにも険しい。文無しの彼女は、ブルーノに説得され、売春をするようになる。。。と底辺をはい回る移民の暮らしが場末の劇場を中心に描かれている。

移民でなくてよかった〜などと思いつつ、女は美しい方がいいのか、悪いのかがこの映画のテーマか?とも。
エヴァは美しいがゆえにブルーノに目をつけられてしまう。ただ、彼に目をつけられなければ送還される可能性もあったわけで…んー、でも、ブルーノに目をつけられたから、叔母夫婦とうまく会えなかったわけで…んー、やっぱり美しさは罪?(笑

監督もマリオン・コティヤールの美しさに心を打たれてこの映画を作ったとか。
まあ、女優は美しいに越したことはないやね。

確かにマリオン・コティヤールの美しさには見とれてしまう。ときに物語がどうでもよくなってしまうぐらいにね(笑 
妹と一緒に未来を築きたいという彼女のたった一つの願いは、どんな絶望も生きる力に変える。
教会で懺悔するシーンで、自分のやっていることが恥ずかしくて仕方がないという彼女に対して、牧師は「許されない罪はない」という。だた、その言葉に助けられるほど現実は甘くはなく、ますます苦境を彼女が襲う。でも、やっぱり彼女の強い意志が未来を手繰り寄せていく。
邦題は「エヴァの告白」だけれど、原題は「移民」
多くの移民たちの未来への希望がアメリカという国を作っていったのだろう。

惚れた女に売春をさせてしまい、かといって拒否されるとキスもできないという複雑極まりないキャラクターのブルーノの行動が読めなくて、最後までハラハラしながら観ちゃった。おかげでぜんぜん眠くならなかった。
☆3つ半。

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深田晃司監督による「ほとりの朔子」

大学浪人中の朔子は、翻訳家の美しい叔母と、やはり美しい伯母が海外旅行に行っている間に海辺近くにある伯母の空家で共同生活を行う。
近くには、叔母の古馴染の兎吉やその娘の美しい辰子がいたり、兎吉の甥で福島から避難してきて、高校を登校拒否中の孝史などがいる。

女性の主要登場人物は、みーんな美しい女たち。
朔子は二階堂ふみ、叔母・海希江は鶴田真由、辰子は杉野希妃(この人の美しいこと!30代前半だけれど、女子大生の役でぜんぜんOK。この映画のプロデューサーでもある。まさに才色兼備だなあ)と美女ばっかり。
ストリッパー物語でとても素敵だった渡辺真起子が、ちらっと旅行前の伯母役で出演。

ここでも、美しくて頭がいい、いわゆる才色兼備だからといって、男選びが正しいわけでもない。
ん?それがテーマ?と思わせられるぐらい、叔母も辰子も、無駄に美しさを浪費しているんだな、これが。

そんな2人の裏事情を知ることもなく、朔子は孝史に淡い恋心を抱く。
一見、ハートウォーミングな映画にみえて、あちこちに毒が仕掛けられている。
叔母は、軽薄な女好きの大学教授と不倫しているし、辰子は無責任な父親が母親を死に追い込んだ過去をひきずっていて、男性不信で逆に大学教授を誘惑してしまう。
ふわふわしている朔子と孝史の2人だけが、案外、ピュアで、恐る恐る人生を手探りで歩んでいるところ。
反原発集会に福島から避難してきているというだけで孝史がひっぱりだされ、話をさせられるシーンは秀逸。こういうの好き。

朔子が滞在する2週間ほどのそんな登場人物たちの日常が淡々と描かれていく。
人生は、どこか悲惨で滑稽なものなんだよね。

シーンにシチュエーションだけ与えられているのかセリフが日常っぽくてリアル。
面白いテイストの映画だった。
始まって30分ぐらいのところで10分ほど気絶。その後は意識をはっきりさせて観た。

☆3つ半。

2本の映画の共通テーマは、美しい女たちはいかに生きるべきか、でした、なんてね。ちゃんちゃん。


posted by 風土倶楽部 at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする