2014年03月29日

観賞日記 ナショナル・シアター・ライブ「フランケンシュタイン」

あーあ、今日でナポさま、終わっちゃった〜。
さみしい・・・。
あといくつちえさまのヅカの新作を観られるのだろう。
はあ。

昨夜、3月20日にオープンしたてのTOHOシネマズ日本橋でナショナル・シアター・ライブ「フランケンシュタイン」を観賞。
英語は苦手なくせに、ときどきむやみやたらと英国の演劇を観たくなる。30年前にロンドンで暮らした1年間の名残り。あの1年間で演劇を観まくったもんね。

恥ずかしながら、フランケンシュタインは喰わず嫌いでよく知らなかったので、実は、怪物の名前がフランケンシュタインなんだと思っていた。映画を観るにあたって予習したら、科学者の名前だった。
怪物は最後まで名前を与えてもらえない。

科学が大きな進歩を見せ始めた19世紀初頭。社会はフランス革命がナポレオンにより(まさに一作夜に観ていたナポさまの時代!)本物の革命となり、ヨーロッパ全土に波及していき、同時に産業革命が進み、現在の社会への橋渡しの時期となる。

その時代の大きな転換期にわずか18歳で「フランケンシュタイン」を書きあげたのがメアリー・シェリー。
人間がこの先、自然を大きく変え、神の領域である命に触手を伸ばすということを予見したかのようなSF的小説。

フランケンシュタインという科学者の無責任さと旺盛な探究心、人間そのものだなあ。
生まれたときはピュアなのに、どんどん罪やウソを覚えていく怪物。

人間の原罪を見事に表現した小説。
その舞台は期待通りのもので、上演時間2時間、息をひそめて見守る舞台に覚醒されまくった。
盆回りをうまく活用した円形舞台上では、水あり、本物の火あり。

冒頭、怪物が胎内のような球形のセットから転がり出てくる。
生まれたてだから、うまく自分の体をコントロールできず、もがきまわる。
そのリアルさにわしづかみにされ、そのまま物語の中に引き込まれてしまう。

怪物は親切な盲目の老人から、文字や言葉を学び、本を読み、知識を得ていく。
が、その過程で愛されない存在である自分を発見し、心をゆがめていく。

罪は我々自身がつくっていく。その過程を怪物の成長とともに目の当たりにする。

そして科学者は、自らがつくった怪物のおぞましさに逃げ、放置してしまう。
怪物は、自分と同じ女をつくってくれと科学者に頼みにいく。

科学者は一度はつくることを約束するが、さすがに怪物が増殖していくことに耐えきれず、つくった女を葬り去ってしまう。怒った怪物は科学者の婚約者を目の前で犯し、殺してしまう。

科学者の自分が命をつくったという思い上がりが、結局、彼を愛していた女性を死なせてしまうことになっても、まだ、探究することをやめない。いつしかそれは怪物との二人三脚になり…。

原発に重ね合わせることもできるし、無差別殺人を生む社会に潜むワナとも思える。
シェリーの感性の鋭さに心底驚くとともに震撼とする。

結局、私たちは怪物をいくつつくったのだろう。
気がつけば、周りは怪物だらけで、すでにあまりにも多すぎて怪物を怪物だと思えなくなっているのではないのか。

観たのは、カンバーバッチがフランケンシュタイン役のバージョン。
怪物役のもちょっと観たいかな。彼の方がジョニー・リー・ミラー より身長が大きいから、もっと迫力があるかも。

ミラーの怪物は、とにかくリアルで、気持ちが透けてみえて、哀れなんだけれど、コワくて、知性にあふれているけれど、孤独で暴力的な怪物なる生きものが、実在するかのようだった。
英国の演劇は、相変わらずすごい!
こういうのを観ちゃうと、日本のストレートプレイはなまっちょろいよね。

マイナーな映画なんだと思い、チケットぴあで抽選だったけれど、ウソでしょ、全員に当たるんでしょ、ぐらい思って会場に行ったら、かなり広い劇場が満席。びっくりした〜。
カンバーバッチ人気?けっこう若い女性が多かった。

このシリーズは、これからも続々と公開されるので、また、ぜひ、観たい。

日本橋は、桜がライトアップされ、ピンクに染まっていた。

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2014年03月28日

観劇日記 4回目の「眠らない男 ナポレオン 愛と栄光の涯てに」

実は、3回観て、ちえさまは素晴らしいけれど、作品としてはイマイチだから、最後のチケットは誰かに譲っちゃおうかな…と考えていた。
ヅカ苦手の友人が、急に観てみたいなどと言いだしたため、ならば付き合うかと。

行ってよかった。観てよかった
あまりの出来の良さに興奮しました。
1か月前に観たときも、1月から思えば、ぐんとよくなっていたけれど、今回は完璧。
完成度マックスだった。

以前は、ちえさまが全員をものすごいパワーでひっぱっていっていたけれど、今回は全員がものすごい底上げになっていた。歌に感情がこもり、演技が細部にまでいきわたり、動きにムダがなく、舞台展開がスムーズ&スピーディ。全体にちえさまのレベルに、みんなが到達していて、ちえさまがすごく楽になったように思った。

特にねねちゃんの歌と演技が熟成されていて、ジョゼフィーヌという人物像がくっきり立ち上がった。
セリフやしぐさひとつでこんなにも深みが出るものなんだなあ。

紅マルモンが、すべてにおいて輝きが出ていたし、真風はますます男らしくなっていた。
全員の歌と演技の完成度がめちゃくちゃ高いうえに、舞台展開のメリハリがついて、物語そのものがすごくわかりやすくなっていました。

が、そうなるとジェラールの音楽の弱点もくっきり浮かびあがるという皮肉なことに…。
メロディーに繰り返しが多く、中途半端な音の並びが多い。彼の作品としてはロミオとジュリエットには遠く及ばない作品だと思う。
(だから、来ない?)
それをよくここまで素晴らしい舞台に作り上げたと星組全員に感動した。
宝塚100年のノウハウを結集させ、昇華させた舞台だと、観ていて興奮。
東宝で楽間近はお得感があるなあ。
ちえさま、ねねちゃん、星組子をはじめ、すべての関係者に限りない拍手を送りたいです。

同行したヅカ2回目の男性が、「柚希礼音の男に惚れた」とのこと。
こんな男性の感想を聞いたら、ちえさま、本望だろうなあ。

ヅカ苦手友人は、以前の宝塚とはずいぶん違っていることに驚いていた。
そりゃあ、星組だもん。ちえさまだもん。
ただ、フィナーレの唐突感にはついていけないらしい。
もっとナポレオンの余韻に浸っていたかったのに…とのこと。
あの部分についていけないと、今後、継続して観るのはダメかもね。
まあ、とりあえず印象は変わったみたいなのでよしとしよう。

そして、私は、ますますちえさまに魅せられている。
こんなに満足を与えてくれるお方がいるなんて、ねぇ。

「太陽王」が、ますますとっても楽しみになってきた。
なんとか1枚ゲットしたけれど、2回ぐらい行きたいなあ(笑

おっとその前に、月組特出でお会いできる。
うふふ。毎月、生ちえさまに会えるなんてし、あ、わ、せ。

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本日のお席。少し後方センターブロック。
このぐらいの方が全体を見渡せていいかも。
いろいろな席を体験してみると、どうやら10列目ぐらいが一番よさそう。
SS席は、ちえさまだけを追っかけるときにはいいのだけれどねぇ(笑

ラベル:宝塚歌劇
posted by 風土倶楽部 at 09:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月27日

正直な眠気、そして三島由紀夫

先日、とあるところから招待券をもらい、某事務所の公演を観劇。
代表はそこそこ名の知れた俳優さんなので、そう大きくはずれることはないだろうと出かけたが・・・。

テイストが合わないというのは、どうしようもないですなあ。
ちょっと全体に学芸会チックで、高校か大学の演劇部の公演を観ている気分になった。
俳優さんたちは、とっても上手でそつがないのだけれど、すべてがステロタイプ。
役柄も、役者も。
主人公の老人が、常に右手を腰に当ててさすりながら歩く様が、あまりにも様式化されていて、そこからもう入っていけなかった。
様式を重んずる(?)宝塚だって、そんなふうに老人を表現しないんだけどなあ。
想像力をかきたてられない。その前に刺激されない。
脚本が、とても説明的で枝葉末節がうるさい。

休憩があったら、途中で帰っていたと思う。
とにかく眠気と闘う2時間だった。
眠気がバロメーターになっているなあ。
でも、これはあくまで私のテイストに合わないだけなので、今回は劇団名や公演名はなし。
ここまで合わないと、書きようがない。
会場は6割程度の入り。やはり合わない人が多いのかしら…。

三島由紀夫の「豊饒の海」4部作の2部「奔馬」を読了。
途中で何度も挫折しそうになったけど。
三島は、自分の小説の中で何度も自死のシミュレーションをやっていたんだなあ。
彼は究極のマゾヒスト。
そして、老いに恐怖を感じていたのだろう。ものすごく若いうちから。

文体が華麗で、まるで錦織のように綴られているから、ものすごく深いことを言っているようで、実はものすごく個人的な美意識を追求しているにすぎない。
若いころにはまった理由が知りたくて、再読しているのだけれど、読めば読むほど、なぜこれにはまったのかよくわからん。

感性が退化しているのかなあ…。
もうあのころの私は、ここにいない。まるで清さまが聡子の中から消えたように。。。

次は「暁の寺」
挫折するような気もするけど(笑


posted by 風土倶楽部 at 15:05| Comment(0) | TrackBack(0) | カレイなる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

観劇日記 雪組「心中 恋の大和路」

宝塚を2連チャンしちゃった。
梅田劇術劇場ドラマシティにて雪組「心中 恋の大和路」を観劇。

この作品は、5回目の再演で名作と名高いもの。
退団公演間近の壮一帆(えりたん)と愛加あゆ(あゆ)のトップコンビが満を持して取り組んだ注目の公演。

私は初見。
いいものを見せていただきました。

構成展開は、すでに定評があるのだから、あとは役者だけ。
演者すべてが適役で、期待にしっかり応えている舞台は、どのシーンも完成度が高かった。
汝鳥さんの父親、もう完璧!登場するだけで、舞台がひきしまる。

男役トップスターにとって忠兵衛は、かっこいいところのない難しい役のはず。放蕩息子で調子だけはいいけれど、頼りなくて、こらえ性がない。そんな男に魅入られた梅川。ささやかな幸せを夢見る遊女。ダメだけれどかわいい男と、そんな男にすがらざるを得ないかわいい女を2人が息を合わせて演じている。

1幕は、あゆっちの声がちょっと高すぎて、耳障りだったけれど、2幕はあまり気にならなくなって、ラストまで息もつかせぬ舞台となる。
あゆっちは、もう少し大人の女の色香が欲しいかな。ちょっと清純すぎるかも(笑
えりたんは、軽やかに忠兵衛を演じているのだけれど、もう少し重さがあってもよかったかな。

廓が舞台になっているけれど、すごく上品にまとまっていて、さすが宝塚!
身を寄せ合う二人のしぐさが、本当に切ない。
心中と題名がついているけれど、破滅の道を行きながらも、二人はどこかに希望を持って歩いていく。
雪の山を越えさせてあげたかったなあ…。

友人で米問屋の丹波屋を演じる未涼亜希(まっつ)。
まっつ、待ってました!
最高のまっつが観られる。
まっつの熱唱を背景に二人がさまようラストの雪山のシーンは圧巻。
この舞台は、舞台の構成とか展開がすごくよく練られているから、舞台の醍醐味を味わえる。
二人の道行きが始まるところからが、特に素晴らしく、ラストシーンは、二人の体温まで感じられるほどの臨場感を味わった。

手代役の月城 かなと。姿の美しさ、歌、演技、どれも◎!
またしても95期生。
これからが本当に楽しみなお方だわん。

録画していた1998年の公演を観て、復習してみた。
未来さんが手代で、最後のまっつの歌を歌っていた。やはり上手い!
この人は、「カラマーゾフの兄弟」でエロおやじを見事に演じていて、あれ以来、尊敬している。
レディ・ベスも、彼女が出ているから、観たいと思うほど。

汐風&貴咲コンビもステキだった。
脚本・演出の菅沼潤氏は、宝塚では寡作で、ほぼこれぐらいなのね。
舞台美術、音楽、脚本、展開、演出がとてもよいから、役者が引き立つ舞台。
まさにお稽古してきたものを存分に出せる舞台となっている。

まゆさんは、やりきった感があるけれど、えりたんは、もう少しいろいろなものに挑戦してもよかったんじゃないかなあ。ベルばらのフェルゼン編が、もったいなかった。退団公演の「前田慶次」がとっても楽しみになってきた。

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ラベル:宝塚歌劇
posted by 風土倶楽部 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月16日

観劇日記 花組『ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛― 』『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』

蘭寿とむの退団公演である花組『ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛― 』『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』 を観劇。
前楽だったのでさよならコンサート付。

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まずは「ラスト・タイクーン」
うーん・・・なんだ、このつまらなさ。盛り上がりのなさは・・・。

まゆさん(らんとむ)のタイクーンという設定も、よくわからない。
ミナ・デービスが事故で急死し、うりふたつのキャサリン・ムーアにモンローが一目ぼれしちゃうのだけれど、そのあたりのところがわかりにくくて、もたもた。そのうちに私は、なんと寝落ち・・・。

宝塚を観ながら、初めて寝てしまった。。。

その後も、明日海りおのプロデューサー、望海 風斗のキャサリンの同棲相手のいじけた男など、中途半端なキャラクターが登場。二人は、とってもやりにくい役をよくやっていたと思う。

が、ちっともわくわくも、ドキドキもなく、だらだらと物語は展開し、ついにモンローは飛行機事故であえなく急死。実は半年もっていいぐらいの癌だったというおち。なのに飛行機に乗る前に、キャサリンに結婚しようとか言って…。

わけわかんない!と観劇後に言ったら、原作を読んでいたヅカ友いわく、「原作がそうなんだもん」

だったら、そんな原作をチョイスするな!
もしくは、そんな原作をもっと面白くアレンジしろ!
と言いたい。おまけに過去のつぎはぎ的なストーリーにしかみえない。要するに新鮮味がない。
これが退団公演なんて…。

ショーは、「夢幻」がテーマだから、なんでもありらしく、やたらと場面展開があって、キラキラしていて、それなりに楽しめた。
ケント・モリ氏の振り付けは、特にどうってことなかったような…(笑
らんとむさんのカクカクした動きが目立った程度。

みりおの美しさ、キラキラさが印象的。やはりトップに就く人なのね。
水美 舞斗、柚香 光が、目立ったかな。
その分、芹香 斗亜の影が薄くなった感じ。

さよならコンサートは、ファントムやオーシャンズ11など花組トップ時代の歌を中心に展開。
組長さんのまゆさんの下級生時代の話がとってもよかった。

らんとむさんは、やりきったんだな、というのがよっくわかった公演だった。
退団記者会見のときに退団を決意したという公演「CONGA」のナンバーがラストナンバー。
「湿っぽくならないよ!」というまゆさん。
新たな道に一歩踏み出したんだなと納得できるラストだった。

ラベル:宝塚歌劇
posted by 風土倶楽部 at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月12日

観賞日記 「小さいおうち」

やっぱり観た直後にささっと書かないと、めんどうになっちゃって、そのうち忘れちゃうなあ。

映画「小さいおうち」を観て、とても面白かったので原作も読んでみた。
映画が面白かったこともあるけれど、タキさんの遺品の中にあった「赤い屋根の小さなおうち」を描いた絵の説明が映画の中でなかったので、気になって仕方がなくて、原作を読むハメに。

で、結局、原作の中には、そんな絵のエピソードは見当たらず、わからず。
おまけに奥さまは再婚で、ぼちゃんは連れ子だった。

えーっ、そうだったの?とかなりびっくり。
だって子連れの再婚と、初婚で一人息子では、家族や夫婦のあり方がぜんぜん違うでしょ。
奥さまが青年に心を奪われる理由だって違ってくる。
もちろん原作の方が説得力があるわけで・・・。

それと社長がなぜ部下の家でよく飲んでいるんだろう?と疑問だったけれど、たまたま社長が家に来たときのことが、頻繁に来るみたいに描かれていた。

最後の手紙の部分も、映画と原作では違いすぎる。
原作では手紙は渡さなかったけれど、板倉は奥さまに会いに来た。

原作のタキさんと、映画のタキさんの若いころは、イメージがかなり異なる。
映画のタキの晩年を演じた倍賞千恵子が原作のタキのイメージに近い。
黒木華が、若いころのタキで第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したのは、かなりラッキーだった?(笑

まあ、原作は原作、映画は映画として観た方が面白いだろうけれど、映画の方は原作の「毒」のようなものが見事に抜かれている気がする。
子連れの後妻、転職した夫、タキの奥さまへの傾倒ぶり、女中としての誇り、板倉の作品の中の毒・・・。
山田洋次監督らしいといえば、らしいんだけどね。もうちょっと毒があった方が、強烈に残る部分があったと思う。

そして、タキは赤い屋根の家が空襲で焼ける寸前に東京に戻って奥さまに会っていた。
この小説の一番怖いところは、ひたひたと戦争がすぐそこに迫っているのに庶民は一方的な戦況報告をあまり疑いもせず、受け入れていたこと。日常とはそんなものなんだろう。
そんなときでも、恋をして、それがたとえ不倫でも、命を燃やす、それが人間。
とても読みやすい小説だけれど、ずしんとくる読後感だった。映画よりも、ね。




posted by 風土倶楽部 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする