2014年04月30日

観劇日記 「レディ・ベス」

行く予定はなかったのだけれど、ちょっと思い立って、突如、2階のA席で観劇。

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舞台美術が、とてもよかった。
占星術をイメージした円形の周り舞台と、頭上の星空と星座の輪。
大きな時の流れの中で必死に生きる人間たちの物語が強調される。

ヘンリー8世は、若いころ、リック・ウェイクマンの「ヘンリー8世の6人の妻たち」というLPを何度も何度も聞いたから、予習しなくても大丈夫(笑
特にアン・ブーリンは、本も読んだし、映画化されるとつい観てしまう。
まあ、刷り込みみたいなもので…。
だから、エリザベス1世がヒロインのミュージカルを、小池修一郎氏が手掛けるというので好奇心むらむら。
でも、なんとなく予感として、音楽がピントこず、触手が伸びなかった。

でも、でも、やっぱり一度は観なくっちゃ…ということで行ってみたけれど…。

予感の半分は当たっていた(笑
特に心にひっかかるナンバーがなかった。何度か観たら、口ずさめるのかな?
多くのナンバーがセリフっぽくて、音楽にしなくてもなあ…と思ってしまう。
特に冒頭、ロジャー・アスカムがヘンリーと妻たちの関係を説明するシーン。ここはセリフでよかったのでは?歌にするとわかりにくい。山口さんも歌いにくそうだった。
ロンドンで観た「レミゼラブル」や星組初演の「ロミオとジュリエット」は、観た瞬間に衝撃が走ったから、そういう類の作品じゃないなあ。

山口さん、なんだか精彩がなかった…。
アスカムという存在が、どういう人で、なにをめざしているのか明確に描かれてないから?
ご教育係だから、いつもベスに「あなたは女王になる身なのだから・・・」と説教を垂れているだけ。
もっと守る立場で活躍するのかと思いきや、ただただ説教だけ。
やさしいわけでも、厳しいわけでもなく。

ロビン役の山崎くんは、レミゼのマリウスを観たことがあって、キャラとしては似ている。
ベスが魅かれていく「自由」を象徴したお得な役。

Wキャストのメアリー・チューダーは、未来さんのを観たかったのだけれど、今日は吉沢さん。
メアリーとは、つくづく気の毒な人生を歩んだ人だというのが、実はこのミュージカルで一番感じたこと。
お母さんのキャサリン・オブ・アラゴンは、アン・ブーリンが現れたおかげで、ヘンリーの気持ちが離れてしまい、離婚されちゃう。そのため、庶子ということで父親のヘンリーに愛されないばかりか、いじめられる。
イギリスをカトリックの国にするために、反抗するプロテスタントを大勢処刑したため、ブラッド・メアリーと呼ばれてしまう(まあ、これは仕方がないけど)
同じカトリックのスペインとの絆を強くするためにフェリべ1世の息子と結婚するけれど、年上すぎて愛されず、想像妊娠までしちゃって、あげくは子宮がんで死ぬ。わずか5年の在位期間だった。

レディ・ベスよりも、メアリーの方が印象に残ってしまった。。。小池さん、これでよいのでしょうか(笑

ベスが悩むと、お母さんのアンが登場するのだけれど、アンのイメージとしてはちょっと天使すぎる(笑
実際は、かなりの野心家だったみたい。まあ、ベスに対しての母としての心情を表現しているとみれば、あの天使ムードはわからないわけではないけれど…。
今回の出演者はミュージカル界のトップスターたちばかりだけれど、その中でも抜群の歌唱力。和音美桜、すごすぎる。レミゼのフォンティーヌは和音さんが一番!だと私は思っているのだ。

平野ベスは初々しくてかわいかった。成長していくようすがよく表現されていて、身近に感じられるベスだった。小柄な人だけれど、最後に女王になるあたりでは威厳が備わっていた。

星組の「ナポレオン」も3回目ぐらいでようやく耳に馴染み、物語の深さを味わうことができたから、1回だけではなんとも言えない。が、面白いかと言われたら、まあね、だし、つまらないかと問われたら、つまらないわけじゃないけど…。
私の眠気審査は、眠りに落ちるまでにはいかなかったけれど、ちょっとうとっとしてしまうところもあった。
13:00〜14:20 14:45〜16:10 合計165分。ちょっと長いかなあ。

自らが同じ運命にさらされたとき、処刑された母親を追想し、母の苦しみや悲しみを追体験していく。
その過程が重要なことはわかるけれど、もう少し整理されてもいいような気もした。
フェリペが、ベスの運命を左右するのだけれど、ちょっと漫画的。舞台としては面白い存在だけれど、彼がどうしてベスに好意的なのかがよくわからない。メアリーより若くて、きれいだと何度も言っていたから、政治的判断ではないのか?(笑 当時の強大なスペインにとっては、イギリスの女王なんて若くてきれいならよかったのかもね。古川雄大くん、なかなかイケメンフェリぺだった。ただ、私は浦井フェリぺを観たい!

キャット・アシュリーの涼風真世さんも、さすがの安定感。ヅカOG、がんばるなあ。

とにかく今回の作品は、主役のベスが注目されがちだけれど、実際の舞台はメアリー・チューダーの出来具合によるところ大!ということがよっくわかった。
吉沢さんでも、悪くないのだけれど、「カラマーゾフの兄弟」で未来さんの実力を見せつけられたから、やはり未来さんで観たい…。ということは、もう一回行かねばならぬ?(笑

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2014年04月17日

観賞日記 劇団☆新感線ゲキXシネ「JIPANG PUNK 五右衛門ロックV」

「蒼の乱」がとってもよかったので、映画になっている「JIPANG PUNK 五右衛門ロックV」を鑑賞。

チャンバラがしたかったのね・・・。

迫力があって、かっこいいけれど、ちょっとしつこいよ・・・(笑

古田新太は、長いセリフがないのね(笑 美味しいとこどり。年長さんだもんね。

三浦春馬、やるじゃないの。歌も歌える、ダンスもできる、立ち回りもできる。
彼にとっては、すごいプレゼンの場になった作品。

蒼井優、自在だわねぇ。うまいし、色気はあるし、共演するオトコたちが惑わされるのもわかる気がした。

一番気に入ったのは、シャルル・ド・ボスコーニュ役の浦井健治くん。本人も、とっても楽しそう。
ミュージカルの舞台より、イキイキしていた。
これからは、浦井くんの出ている作品は、要注目にしよ。

もう一人、すごくお気に入りになったのは高橋由美子。
歌も歌えるし、なにより演技がよろしかった。
これだけ個性的なメンバーの中で埋没せず、謎の尼僧としての存在感がしっかりあった。
この人も、これからは注目しましょ。

作品としての出来は、「蒼の乱」が数段上。
五右衛門ロックは、ただ、ただ、劇画チックに俳優たちが暴れまわるのを楽しむだけ。
まあ、それもいいけれどね。それだけっていうのもね。





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2014年04月13日

観劇日記 月組『宝塚をどり』 『明日への指針 ―センチュリー号の航海日誌― 』 『TAKARAZUKA 花詩集100!!』

あ〜、楽しかった!
なーんにも考えずに、ただ、ただ、大劇場の空間に身を浸しているだけで、濃密なヅカワールドに溺れる。
幸せなひとときだった〜!

おまけに本日は、柚希礼音と夢咲ねね、そう!ちえねね特出千秋楽!!!

もういうことはなにもありませぬ。

ちえさまのオラオラ〜っ!も聞けたし・・・。

まさおが、4組の特出についてなかなか上手にまとめていた。
花組は、優しく広い心を、雪組からはひたすらドSに、宙組からは妖艶な中にも輝きを(だっけ?)、星組からはダイナミックにパワフルに限界に挑戦することを学びました、というようなことを言っていたっけ。

そうか、やっぱり限界に挑戦してこその、あの数々のちえさまなわけね。
まさおとのツートップ。対比が面白かった。
華奢なまさおと、存在感どかーんのちえさま。
トップ中のトップ、ですな。
会場の盛り上がり方がすごくて、地響きがするみたいな拍手だった。
カーテンコールでは、ちえちゃん、すてき〜っ!の声があちこちからかかって、まるで星組公演。

さて、まさおくん、歌はとってもうまい。なのに、なのに、どーしてあんなセリフ回しなんだ…そう、まさお節。上級生が、なぜ指摘してあげないの?
ヅカ友といつからあーなっちゃったんだ?と考えてみた。友は、スカピンのショーブランからでは?と。

うーん。。。まあ、いっか。

作品は、宝塚をどりは、和ものもなかなかいいねぇと思わせてくれた。
とにかく華やか。ただ、ボタンの精と獅子のからみ。ボタンの精は、なぜ中国仕様なのか?
ちぐはぐさが気になってしまった。

2場の輝月ゆうまのソロが、とってもよかった。彼女は、本当になにをやらせてもうまい!
たまきちたちの土佐節(だっけ?)も、楽しかった。

センチュリー号の航海日誌は、35分間でスピーディに話が進み、まさお節が〜と思っている間に終わり。
いろいろな過去の作品を取り入れていて、ファンにはそれなりに面白かったけれど、初めてみた人は?が多いかも。
ここでも、ゆうまの役に注目。ゆうまファンとしては、次はどんな顔を見せてくれるのかとっても楽しみ。

花詩集は、豪華絢爛で楽しめるのだけれど、フランス人のデザイナーによる衣裳がよかったのかどうかは、かなり疑問。単にゴテゴテしているだけに見えるものも。
もうちょっと日本的な引き算の美しさもほしかったかな。
特にバラを肩につけた赤白黒のステージ衣装は、私の好みではない。

全体にこのコテコテお衣裳は、華奢なまさおくんはとっても似合っていたけれど、ちえさまには?
あのようなファンシー系のコスチュームはイマイチ。メイクも、今日は昔に戻ったようなメイクで、ナポさまの片りんもなかった。
でも、それもちえさま、あれもちえさまだから、それはそれでよいの、ね(笑

ちょこちょこ?というのはあったけれど、あっという間の3時間。
楽しく、楽しく、ひたすら楽しく過ごさせていただきました。
フォーエバー宝塚!!!


タグ:宝塚歌劇
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2014年04月11日

観劇日記 東京乾電池「そして誰もいなくなった」

東京乾電池「そして誰もいなくなった 〜ゴド―を待つ十人のインディアン〜」を本多劇場で観劇。

劇場って不思議。
先日、観た例のテイストの合わない劇団のときは、会場がやたらと広く感じたのに、今回も入りは同じくらいなのに舞台がすごく近く感じる。小さく感じる。
空間というのは、そのときの気分で印象が変わるのね。

東京乾電池はもっと小さい劇場の方が合うように思う。
前回の下北沢スズナリあたりの方が、今回もよかったのでは?
山手協会の地下にあった劇場での乾電池のイメージが強いからかなあ。

今回の作品は、別役実が本多劇場のこけら落とし公演のために書き下ろしたもの。
不条理劇なんて、わけわかんなくて寝ちゃうだろうな、と思って出かけたけれど、しっかり1時間50分ほど覚醒していた。

何者かにパーティだと言って呼び出された10人の某(それぞれ名前はあるけれど、それがなにを意味するのかは不明)。パーティの目的もわからず、お互いも知らず。招待者の名前は、あるものはゴド―だというし、あるものはゴード(だっけ?)だというし、要するに不確かなことの連続なのだ。
コミュニケーションを取ること、会話が成り立つことの難しさがとっても鮮明に伝わってくる。
結局、一人ひとりはそれぞれの思いこみの中にいて、そこを基準に物事を考えるから、本当のところはなにもわかっていないし、つたわっていない。で、その人が不在になって初めてその人の役割がわかったりする。

まさにSTAP細胞をめぐる現在の状況って、これかも…なんて思いながら、見ているとますます面白い。

乾電池の役者の面々の力の抜けた芝居が、また、ぴったり。
そういえば、この力の抜け方が私は好きだったんだなあ(笑

綾田俊樹さんが出ていて、懐かしかった〜。
柄本明&時生の親子出演。これは時の流れを感じさせられる。
時生くん、いい味、持っているよね。死んでいるかっこうが様になっていてよかった(笑

終了後のご挨拶で、明さんが、
「今日は初日。まあ、ね、別役さんのこんな芝居がね・・・えへへ、たくさんお客さんが来るものでもなし・・・ね。でも、観てほしいので、また、来てね」みたなことを苦笑いで言っていて、可笑しいのなんのって。確かにね。

面白かったですよ〜!




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2014年04月02日

観劇日記 劇団☆新感線いのうえ歌舞伎「蒼の乱」

新感線のいのうえ歌舞伎「蒼の乱」を東急シアターオーブで観劇。
人気がある理由がよくわかる作品。
4時間近い公演の間中、息もつかせぬ展開で、第一線で活躍中の俳優たちが、実に楽しそうに演じている。

今回の題材は、坂東武者の平将門。将門小次郎が出世を目論んで都で公家に使えるが、その腐敗ぶりに嫌気がさし、出会った蒼真など渡来人たちと共に坂東に戻る。しかし、故郷は、叔父たちが国司とつるんで民を苦しめていた。叔父たちとの闘いの中で国司を殺したことにより、小次郎は朝廷に刃向う反逆者となってしまう。夫婦になった小次郎と蒼真は土を耕し、豊かな大地にと夢を育むが、やがて朝廷軍が押し寄せ、坂東は血の海となってしまう。嫌気がさした小次郎が姿を隠してしまい、代わって蒼真が将門御前として反乱軍を率いることに。やがて小次郎は権謀術数に長けた朝廷と公家のワナにはまり・・・

ものすごくよく練られた脚本。
震災から3年。娯楽作品の舞台を福島に置きつつ、その現状や要因に一言も言及せずに、その置かれた状況や人々の思い、中央との関係などをしっかり形にして見せるというすごい技。
やはり並みの劇団にはできないものがある。

キーワードは相馬。
これを馬と相談するという設定にしているのが秀逸だと思った。
馬と話せることが、郷土愛、自然とのつながり、地域の独自性などを端的に著している。
そして、ヒロインの名前は蒼真(そうま)
渡来人という設定が、地域にとってのよそ者、当事者ではないものという位置づけを明確にする。
渡来人だからこそ、しがらみにとらわれず、思いにまっすぐでいられる。

馬の表現の仕方がうまい!
動きが馬らしくてイキイキしていた。まさかの表現。あれは一見の価値あり。

ヒロイン蒼真役の天海祐希がめちゃくちゃかっこよかった。美しい〜!彼女のオーラも、半端ない。
昨年観た「おのれナポレオン」はストレートプレイだったけれど、今回は歌もあり。
宝塚の現役とがっつり勝負できますな、いや、勝つね。ちえさまと互角(笑 
まあ、天海のために書かれたような脚本ともいえるしね。
反乱軍のリーダーとなって戦いの先頭に立つさまは、まるでフランス革命のときの「民衆を導く自由の女神」の絵の女神のようだった。将門御前ができるのは、やはり天海だからこそ。

早乙女太一もぴったりの役柄。
松山ケンイチは、第1部は少々抑え気味だったけれど、第2部はさすが大河ドラマの主役をはっただけのことはある。朝廷に翻弄されはじめたあたりから、演じ分けがはっきりしてきて、将門像が明確になった。

平幹二郎は、もっとも得意とする物語の要を握る為政者の役。
圧倒的な存在感。
「唐版・滝の白糸」のときとは比べ物にならない。

梶原善、意外性はないけれど、手堅い謎の公家だった。
高田聖子も、高田聖子だった(笑

ラストは、怒涛のカタルシス。満席の会場は興奮の坩堝と化していた。
ラストの緑の草原と青い空が融け合う中にヒロインが立つシーンは、忘れられない瞬間になりそう。
「大地と空と風、自然と向き合い人をつなぐ心、感じとっていただけますとプロデューサー冥利に尽きます」とのサイトの挨拶にあるが、しっかり感じ取れた。見事なお手前でした。

思いを受け継いだものが、大地に根をはって生きていくのだ…それしか道はない。

内容・舞台展開とも形を変えた宝塚だと思った。ベースに歌舞伎があるのが共通した点だから、かな。
歌舞伎で使われるツケ板による音が多用される。
セリフの節目にこの音が鳴り、より印象づけるのと、舞台にメリハリをつける。
しぐさの型を音とともに決める。
宝塚も型が基本。
アニメにも、急にスポットライトが当たったり、型で画面を止めたりは多用される手法。
時折、アニメっぽいなと感じるシーンもあった。
そうやってみると、歌舞伎というのは大衆演劇の集大成なんだなあ。

シアターオーブは、今まであまりよい印象がなかったのだけれど、今回は席が1階のド・センターでよかったせいか、音響、舞台設備など、すべてにとても満足した。
料金は、ちょっと高いけどね。まあ、これだけの有名どころの俳優をそろえていたら、仕方がないかな。

太陽王の劇場下見みたいな気分で行ったのだけれど、大満足だった。
さて、次回のオーブは太陽王!!!待ち遠しい。

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シアターオーブからの渋谷の街の眺め。
夕暮れどきは、どんな街でも美しく見える。

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タグ:宝塚歌劇
posted by 風土倶楽部 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする