2014年12月22日

「0.5ミリ」

テアトル梅田に「0.5ミリ」を観ようか、「毛皮のヴィーナス」を観ようか悩みながら行って、結局、0.5ミリを観ちゃった。
このところ老人問題がひたひたと忍び寄っているから、つい、ね。

奥田瑛二と安藤和津は、いつのまにかすごい姉妹を育てあげていたのだなあ。
原作・脚本・監督は、姉の安藤桃子、主演は妹の安藤サクラ。

サクラさん、どこかで観た顔だなあ…と思っていたら、あの「愛のむきだし」だった!
感動して、つい2回連続して観ちゃったあの「愛のむきだし」!

こんなところで再会できるとは…うれしかった。

老いさらばえた老人になりきる名優たちの演技にひたすら感心しまくった。

放浪するヘルパー、サワちゃんのロードムービーといった内容。
サクラ演じるヘルパーのサワが放浪せざるを得なくなるきっかけにまず引き込まれる。
一人目のじいちゃん演じる織本順吉さん。
ものすごいリアル。あとでちらっと少し若いころが出てくるのだけれど、その対比が見事。

2人目のカラオケ店で出会う井上竜夫さん。
ネタばれになるから、詳しく書かないけれど、いい味出しているなあ。
このシーン、大好き。

3人目の坂田利夫。もう素晴らしいの一言。
一番泣けたし、淋しさが伝わってきた。そして、かわいい。。。
坂田エピソードの最後のシーンが神々しくて…。

4人目、5人目の津川&草笛夫妻。
もやもやした老人の男でありたい、女でありたいという気持ちが面白かった。
2人の役者としての覚悟も、同時に伝わってきた。

柄本明は、老人ともいえないので、ちょっと違うけれど、心に傷を負ってしまい、どうにも再生できない男の淋しさ、そういうのを演じたら、やっぱりぴったりだな。

柄本さんの本当の奥さんの角替さん、浅田美代子、木内みどり、ベンガル、みーんな、いい仕事をしていた。
3時間半もの長い映画だったけれど、意識がとんだのは途中ほんの2分ほど。
津川&草笛夫妻のエピソードは、もう少し短くてもよかったかも。

サワちゃんが、どうしてあんなにやさしくなれるのか。
ネタばれだから、書かないけれど、あの設定にうならせられた。
命を再生できないことが、一番つらいことなのかもしれないなあ。

サワちゃんで、もっともっといろいろな老人たちの暮らしをのぞいてみたくなった。
そうすることで、うちの老人にもやさしくなれるような気がするから(笑
NHKのドラマ10あたりで連続ドラマにしてやってほしい。もちろんサクラさんのサワちゃんで。

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2014年12月07日

「星ノ数ホド」

養蜂家と物理学者の恋愛劇「星ノ数ホド」を新国立劇場小劇場にて。
養蜂家が主人公というので好奇心抑えがたく…

ちょっと不思議なお芝居で、二人の会話が少しずつずれて、いろいろなシチュエーションを重ねていくというもの。多元宇宙論を語りつつ、作者いわく「ミクロの世界で手を尽くす(ミクロの世界?と、突っ込みを入れつつ読む私)養蜂」の世界を融合させ…
なんのこっちゃわからん。
プログラムを買ったんだけど、まだ、ちゃんと読んでいない。

会話というのは、コミュニケーションができているようでできていない。
一つの言葉の意味も、受ける側で変化するし、たった一言が相手を怒らせたり、うれしがらせたりもする。
人の数だけ宇宙があるともいえる。

そういうものと養蜂がどのように融合するのか…

「ミツバチには3種類がある。働き蜂とオスと女王蜂 (と生態を簡単に語りつつ)・・・それぞれの役割を果たし短い命を終えるミツバチの優雅なシンプルさが僕はうらやましい。僕たちはいろいろ悩みまくり、わからないことだらけだけど(物理学者の女性とのすれ違うシチュエーションと対話の数々のあと)、今、僕がわかっていることは…(と、ポケットから指輪を出す)君が好きだ!ということなんだ」

このシーンにミツバチが多用されていた。

このようなプロポーズの言葉に引用されるとは・・・。

養蜂が大きく物語にからんでくるのは、ほぼこのシーンだけかな。宇宙に対して、ミツバチという生き物を登場させることで、命を意識させたかったのかな。
ものすごく要約すれば、人生は短い、一瞬一瞬を大切にしよう。でも、それができないのが人間。だからこそ・・・みたいな感じ?

でも、主人公を養蜂家にする必然性は、あまり感じられなかった。
養蜂が趣味の農業をやっている男性ぐらいでよかったのでは?

というのが、プログラムで紹介されている養蜂が、銀座の養蜂なのよね。
職業ではない。
養蜂って、ああいう活動のことをいうと世間では思われているみたい。
プロの養蜂家にとっては、ショックかもね(笑
今や送粉昆虫としての農業への貢献の方が、ハチミツなどの生産物をはるかに凌駕しちゃっているミツバチ産業。
そんなことを多くの人は知らない。相変わらず3万匹のミツバチの巣箱を置いたら、ハチミツが採れた!などという記事が紙面をにぎわしている。そりゃあ、採れるでしょ。彼女たちはハチミツがないと生きていけないんだから。
というわけで養蜂なんて、誰でもできると思われているふしがある。だって、ハチミツをとってくるのはミツバチなんだもんね(笑

「養蜂」というやたらと最近、もてはやされる記号に頼ったお芝居だから、結局、その記号のイメージが人によって大きく違う。そういうものを職業に据えた作品だから、結局、なんだかよくわからないままに終わった。

まあ、私は、白状すれば、主演の一人の浦井健治くんが見たかった…のであります(笑 
紅顔の美少年も33歳になるとオジサンの影が〜。

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