2015年07月22日

カトリーヌ・アルレー著「わらの女」

「目には目を」が面白かったので、彼女の一番の傑作といわれている「わらの女」を読んでみた。
きついサスペンスものだなあ!

悪女小説というよりも、愚かな女小説だ。
でも、なぜか身につまされてしまう。

以下、ネタばれあり。

ハンブルクの大爆撃で親族を全員失い、閉そく感に満ちた暮らしをしている30代の女性ヒルデガルデ。
富豪が伴侶を探しているという新聞広告に魅入られてしまい、周到に練られたワナにはまっていく・・・

意外な展開だったのが、富豪とは割にあっさり結婚できてしまうところ。
あまり説得力がなかった。唯一愛した妻に早くに先立たれ、富豪だけれど、孤独な老人カール・リッチモンド。
人は金でいくらでも魂を売る。そんな場面をわざと創りだし、ボーイたちを貶めて楽しんだりしている、まあ、お金を持っているジジイにありがちな性格。
そこに看護婦になりすましてやってきたヒルデガルデ。彼女は、わざとお金では動かない女になってみせる。
まんまとその演技に妻の面影を見たのかどうかわからないが、カールは結婚を申し込む。

このあたりの成り行きがイマイチぴんと来ない。
看護婦の割には、やることがほとんどない。
事件が起きてから、警察はこの看護婦として乗り込んできた経緯を調べれば共犯がいるとわかるはずなんだけど。
そして、ネタばれだが、解説にあるように、殺人者は遺産相続はできないという法律上の問題が、完全にスル―されている結末。

かなり破たんしたお話なんだけれど、面白くて一気できてしまった。
私は、こちらよりも「目には目を」の方が傑作だと思う。

誰だって、贅沢はしたい。
でも、こんな怪しい話には乗らない。
と思うけれど、ネットにも、雑誌にも、怪しい話は数知れず。一連の「おれおれ詐欺」だって、その一つ。でも、人ははまる。
ヒルデガルデの欲望も、絶望も、わかるだけに、そこまでやろうと思ったのなら、もう少し強く生きてもよかったのになあ、と、とても残念な結末だった。

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posted by Luna at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする