
今回の展示は、1880年代から1916年にかけてイギリスからヨーロッパに広がったアーツ&クラフツ運動が、1926年から1945年に日本に渡り、民芸運動として結実した変遷を見ることができる。
1ヶ月ほど前に関西でポスターを見て、ぜひ、行きたいと思っていたもの。
ウィリアム・モリス、バーナード・リーチ、濱田庄司らの系譜を辿れるなんて!ヴィクトリア&アルバート美術館の企画展をベースにした特別展です。

1887年にロンドンで結成されたアーツ&クラフツ展協会に名前の由来があるこの運動は、生産活動を抜本的に見直し、労働や生活に人間らしさを取り戻すことをめざしたもの。一部の人たちは、田園と土着的な伝統へのノスタルジアを体現するために田園に居を移し、工房でのものづくりをめざした。これを支えたのが当時の知識階級とパトロン階層。
有効なお金の使い方とはこういうものをいうのでしょうね。

掛け布団用の生地。筒描といって、筒に米糊(こういうところに使うものなのだ!)を入れて、絞りだして絵を描く技法なんだそうな。
不老不死の鳳凰が描かれているので夜具としては縁起がよいとされたそうだ。
なんともステキな意匠です。1875年から1925年頃の日本でつくられたもの。
タペストリーに欲しい…と切望!
ほかにも「欲しい!」と思うものがいろいろあって、今の生活用具のデザインのうすっぺらさよ…とほほ。
昨年行った倉敷の大原美術館で観た濱田庄司の作品の数々は、もう、トリハダたちっぱなしだった。あの力強さって、どこから出てくるのか。
リーチが絶賛した、あえて作家を輩出しない小鹿田焼も。使いつづけても飽きがこない。農林業をやりながらの陶器づくりに秘められたものこそ、アーツ&クラフツの真髄。
アーツ&クラフツ運動よ、ふたたび!と願いたいもの。
いざ、田園でものづくり!
が、その田園は消えつつある。
ということは、生活も芸術も!?
観終わった後、すぐ近くにある平安神宮に。

前に来たのは中学校の修学旅行?
いや、そんなはずは・・・でも、思い出せない!
やばいです。

屋根の勾配、ハデハデなんだけれど神々しい社殿。
DNAに刷りこまれているのか、この風景はどこか懐かしくて、安らぐ。
昔の人のこのアート感覚はすごい。
時を経てなお心をときめかせるデザインに囲まれて暮らしたいものです。