2006年07月23日

亀の手とリアス

スペイン大使館のイベント「ガリシアデー」記念セミナー&レセプションにお招きいただきました。
ガリシアとは、スペインの西北部にある自治州で、ヨーロッパ大陸の最西端にあります。
というのは行ってからわかったこと。どっかで聞いた名前なんだよなーと思いつつ、ワインやチーズ、ガリシア料理の話などを聞いた後に、いよいよ今回のイベントのために食材のすべてを空輸してきたというレセプションへ・・・。
そこで出会ったのが、これ!

kamenote.jpg
亀の手です。



爪の部分ではなく、腕の部分を切り口からチュッと吸って、身を食べます。
亀の手という名前だけれど、実はフジツボの一種で、海岸の岩場に貼りついているそうです。

それにしても、なぜ亀の手に似せなければならなかったのか。
大きい魚とか鳥とかに、「ん?これは亀が岩場から手を出しているだけだから、食べられないなあ」と思ってもらいたかったのか。

スペイン語では「ペルセベス」
味はどこかで食べたことがある・・・と記憶を探ってみたら、そう!タニシだ!
一緒に食していた食のプロたちも、ほぼ同感。
日本にもあるようですが、同じ味なのかしら。
好き嫌いがはっきりわかれそうな味です。
私の場合はといえば、食べるものがなくなって、海岸を彷徨っているとしたら、お!いつか食べたあれ・・・と手を出すかも。

ガリシア地方では、とても魚介をたくさん食べるそうです。
セミナー講師の1人、スペインレストラン「エル・ポニエンテ」のオーナーシェフの小西由企夫さんいわく、
「スペインで新鮮な魚介類の食べ方を料理人に聞くと100%が海水と同じ割合の塩水で茹でて食べるのが一番と答えます。
日本のものは塩水で茹でるだけでは水っぽくてだめで、やはり刺身に適しているのでしょうね。
海水の温度が違うからでしょう」
とのことでした。

この間、青森の漁港で一番おいしい食べ方は?と聞いたら、同じように塩茹でしたものと言う方がいました。
それは一度食さねばと思っているところです。

ガリシア、魚介、帆立・・・と来て、ようやく思い出したのがリアスのこと。
畠山重篤さんの「リアスの海辺から」(1999年刊 文芸春秋)を早速取り出してみると、ガリシア地方に旅した記述がありました。

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代表的なリアス式海岸として知られる三陸の海岸で帆立貝と牡蠣の養殖を営んでいる畠山さんは、上流の山に植林をする「海は森の恋人」活動でも有名。畠山さんが、「リアス」という言葉のルーツを探って、たどり着くのがガリシア地方のサンチャゴだったのです。

リアスはスペイン語で、リアの語源は川。川が削ってできた複雑な地形であり、地殻変動で地盤が沈下し、海が逆に入り込んできた姿がリアス式海岸で、「森・川・海のバランスのよい海岸、森は海の恋人」の世界こそがリアスだったというわけです。
実際にガルシアで出会った漁民たちから畠山さんは「森は海のおふくろ」という言葉を教えられます。

魚介類の豊富なこの地方では、キリストの12使途の1人聖ヤコブの遺体が発見された地として、中世から帆立貝をシンボルにした巡礼のメッカでもあったとのことです。

同書によると、スペインのリアス式海岸はアメリカ大陸が発見されるまでヨーロッパで「フィニステーレ(地の果て)」と呼ばれており、気仙沼もアイヌ語で「ケセモイ(終端の地)」と呼ばれていたとあります。
辺境の地とされていた遠く離れた二つの地が、リアスという言葉でつながっていくところに、この本の面白さがあります。

さて、レセプションではワインやチーズも味わってみました。
リアル・バイシャスという原産地のアルバリーニョという品種のぶどうでつくられた白ワインはスペインワインを語る上では必須とか。
確かに冷やしてもしっかりした味わいの残る、とてもおいしいワインでした。
メンシアという品種の赤ワインも、ボディがしっかりしていて◎。

イタリア、フランスもそうですが、スペインもまた、ワインは原産地呼称がきちんと規定されていて、DOという表示で品質が保証されています。
地産地消を考える上で原産地呼称は、日本でももっと真剣に考えていきたいものです。

ラベル:食文化
posted by 風土倶楽部 at 10:13| Comment(4) | TrackBack(0) | 首都圏情報&食事情&おいしいお店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オオオー!ですね。すこし腕(?)の部分が細いように見えますが。私が食べたのは酒で蒸したように料理してありました。
Posted by seayanak at 2006年07月23日 14:08
お味はやはりタニシ系なんでしょうか。

最初に食べた人はエライ!と思える食材の一つですね。
Posted by あさだ at 2006年07月23日 22:59
亀の手を炭火で焼いたものを東京・茅場町の貝専門屋台で食べた事がある。口中が海の香りでいっぱいになって、おいしかったよん。
Posted by しんぺい at 2006年08月13日 10:08
お久しぶり〜
貝専門屋台にすごく興味あり。今度、よろしく!
Posted by あさだ at 2006年08月14日 07:24
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