2006年08月10日

危険な食卓 フードファディズム

週刊ダイヤモンド8月5日号の特集は「危険な食卓」
23ページに及ぶ大特集だった。

kikennashokutaku.jpgけっこう食の危うさを幅広く網羅している。
本来、食関係の雑誌がやらなければならない内容である。
スローフードやスローライフをテーマにした雑誌が、なかなか言及しない食の矛盾や誤解に満ちた現状が報告されている。
食の問題点をきちんと押さえてこそ、初めてスローだなんだと言えると私は思う。
週刊Dの広告主を見て、納得。IT系やファイナンシャル系ですもん。
そりゃ、言いたいことが言えるワ。

「あえて行間を読ませる健康飲料の広告手口」というコラムなんて、よくぞ言ってくれました!

何が燃焼系だ、何がジョビジョビジョバ〜だと、テレビの前で「あほか」と1人で毒づいていた私にとっては、久しぶりに溜飲を下げることができた。
このコラムによると、「私の中のよからぬもの」とは何かとお客様センターに尋ねたところ「モヤモヤした気持ち」だという答えが返ってきたそうだ。
でも、広告は明らかにデトックスを狙っていたでしょうに。このウソツキ!

だいたいデトックスが私は大嫌い。
何かちょっとやったくらいで全取り替えできるほど、体は簡単じゃない。
1ヶ月かかって細胞は生まれ変わっていくんだから。

デトックスで検索したら、440万件もヒットした。
どうして目覚めないのだ!と、まあ、怒ってみても、人の体なんだし。

が、そうも言っていられない。
何を食べるかということが食料事情や医療費につながり、
何を食べさせるかが子どもの心とからだの成長にとって大問題なんだから。

群馬大学教育学部高橋久仁子教授によると、フードファディズムとは、食べ物が健康や病気に与える影響を課題に評価したり信奉することを言う言葉で、1950年代の米国の文献ですでに論じられていたそうだ。
つい最近では白いんげん、寒天、ちょっと前ならキナコ、黒豆、と一過性の大ブームを呼んだ食材をあげることはたやすい。

トクホ(特定保健用食品)にも一応切り込んでいる。
食品広告のほとんどがこのトクホ制度をいいように活用したものばかりだから、なかなか本質の話は掲載できないはず。
高橋教授の「ヘルシー食用油も飲料も、いわば添加物ミックス。添加物を毛嫌いしながら、一方でトクホ商品を好むというのは矛盾なのだが…」というコメントもある。
食の誤解と矛盾はあまりにもありすぎ。

ダイヤモンドさん、よくやったと褒めたいところだけれど、
ちょっと待って。
グルタミン酸ナトリウムのところはかなり異論あり。
カラダにいいとか、悪いとかじゃないのだ。

工業化された加工食品に大量に使われ、濃い味に慣らされることによって、企業のビジネスに取り込まれていくことが一番コワイことなんよ。味を覚えさせられ、習慣化すると、それこそ生活習慣病を呼ぶことになるのだ。

例えば、ポテトチップス。あんなに油と塩まみれの食べ物はないのだから。
味噌や醤油を減塩したって、ポテトチップス、インスタントラーメンを食べたら、結局、より多くの塩をとっていることになってしまう。
その先導役がグルタミン酸ソーダなのだ。

子どもたちが小さいころから、そんな味に馴染んでしまったら、本物を食べたときにまずいと思ってしまう。本当のおいしさを持ったものこそ、ちゃんと本来の栄養を兼ね備えたものなのに。
人の体は人口的につくられるものではない。

BSEの捉え方も甘い。
BSEに感染する日本人の確立は0.9人以下で、交通事故では年間約7000人が亡くなるとある。
交通事故死と比較するもんなんだろうか。
交通事故は一瞬の過失である。BSEはそういう病気を持った牛をすでに人間が作り出してしまったもの。どのくらい蔓延しているのか、米国の場合、定かでない。不思議なのは、この手のレポートをしつこくするようなテレビ番組がないことだ。
安全安心は、つねに情緒的な「安心感」に左右されているにすぎない。

食料資源としての牛肉という考え方も説得力はない。穀物を大量に必要とする畜産を基本に食料資源を考えるのは現実的ではないだろう。もっと先に確保しなければならない食料資源はたくさんある。

食のこと、農林漁業のことを考えていたら、ミッシングリングが多すぎて、深い森の中を彷徨っているような気がしてくる。
食をシンプルにすることが必要だとつくづく思う。その一歩が地産地消なのだろう。身近なできることからしか、始められないのだから。


ラベル:食育
posted by 風土倶楽部 at 14:31| Comment(3) | TrackBack(0) | 食と農の未来 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして

わたくしも、この特集は気になって読んでみました。
正論でまとめられたよい特集ではなかったかと思います。

グルタミン酸ナトリウムやBSEの取り上げられ方に疑義を呈しておられますが、それはどうかなと思います。

グルタミン酸ナトリウムについて食文化まで絡めてしまうと、この特集の焦点がぼやけてしまうのではないでしょうか。
もちろん、生活習慣や食育は重要ですが、ここは切り分けるのが適切と思われます。

また、BSEと交通事故のリスク比較についてですが、リスクを数値化し比較すると言う観点そのものは妥当ではないでしょうか?
国の予算は限られており、危害はあまたある状況では、数値に置き換えて優先度の高いものからあたっていったほうが、効果があります。

最後に、食をシンプルに、地産地消のくだりはその通りではないかと思います。
私はそれを阻んでいる最大のものは円の強さではないかと思っています。
不況だなんだと言われながらほとんどの人は普通に食べていける社会のマスの部分に受け入れられるのつらいのではないでしょうか?

Posted by ぴら at 2006年08月17日 21:20
あさださん、こんにちは。
私もこの特集を読みました。
「農」と「食」、なんともとらえどころのないこれらのキーワード、正しく当てはまるべき物差しは、一体どこにあるのでしょうか…?
仕事の中で地元学に触れさせていただいたおかげで、農と私達の生活との関わりを見直すことの重要性を考える機会が多く、大変興味深く拝読したところです。
身近なところから取り組んでいくしかない、という一つの結論、それからアグリビジネスのあまりの巨大さに一個人のできることって何なんだ…?と卑小に感じる意識。毎日3回欠かせない「食べる」という行為、何気なく繰り返していますが、考え始め、意識し出すと、下手すれば何も口にできなくなることだってあるかもしれませんね。
とりあえずは、自分が美味いと思うものをただ食う、ここにポリシーを持っていくしかないのかなぁ、との私の結論です。
厚顔無恥、論点がずれてしまい申し訳ありません(汗)
Posted by 群馬県 熊川 at 2006年08月18日 22:34
からだにいいとか、悪いとかだけで考え始めると、迷路に入ってしまうけれど、食べることでどんな環をつなぐのかを基本にしてみれば、案外シンプルなのかなとも思います。

とりあえず日本の農(熊川さんの場合はもちろん群馬の農!)を元気にする食べ方を自分なりに考えてみるというのはどうでしょうか。

私は、食育って、当たり前のものを取り戻すためのものだと思っています。

Posted by あさだ at 2006年08月19日 00:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック