2012年01月03日

年末年始の映画

新年あけまして、おめでとうございます。
昨年はシンプルな暮らしを新年の目標に掲げましたっけ。
3月11日以来、夏は節電、節電で、このままシンプルな暮らしに国をあげて突入するのかと思ったら、そうでもない。もうすぐ原発はすべて止まるということだけれど、けっこうこのままの状態でやっていけちゃう?としたら、原発ってなんなんだ?なんだったんだ?
なにがなにやらわからない世の中。やっぱり身辺と暮らし方はシンプルにしておくにこしたことはない、というわけで今年も昨年の目標を踏襲することにします。

年末から、映画三昧中。

園子温監督「愛のむきだし」上巻、下巻 
素晴らしい!こんな勢いのある映画は久しぶり!母親が亡くなる前に「あなたのマリア様を探しなさい」と言った一言に忠実に生きるユウを通して、現在の愛の不条理が暴かれる。痛々しくも可憐な愛の彷徨者のヨーコの存在が際立つ。ユウ役の西島隆弘、ヨーコ役の満島ひかり、二人とも輝いています。4時間という上映時間をまったく感じさせない。
紅白歌合戦にAAAが登場。西島くんを観れてよかった〜。
☆☆☆☆☆

園子温監督「恋の罪」 2011年 映画館で。
「愛のむきだし」がよすぎたので、ものすごく期待して行ったら、最悪。東電OL殺人事件がベースになっているということだけれど、場所と売春が同じなだけで、どこがベースなんだかちっともわからない。「愛のむきだし」のベースにされていたオウム真理教事件の方は、説得力あったのに。女優たちも、せっかく裸になってがんばっているのに、なんだかなあ…でした。



川島雄三監督「女は二度生まれる」
1961年製作
友人がDVDを貸してほしいというので貸す前にチェックと思ったら、そのまままた観てしまった。若尾文子様が色っぽいのなんのって。オンナが見ても「惚れてまうやろ!」です。
こんなに艶めかしい女優はほかにいるでしょうか。裸にならなくても、存在だけで十分。
以前、観たときにはラストシーンが唐突だと思ったけれど、今回は納得。戦災孤児で生きる術を持たず、三文芸者になった文子様が新しい人生を歩みだす生まれたてのシーンだったのね。
傑作です。☆☆☆☆☆
ついでに言えば、同じく川島監督の「雁の寺」「しとやかな獣」「幕末太陽傳」も素晴らしいです。

大庭秀雄監督「君の名は」1953年製作 BSプレミアム
「忘却とは 忘れ去る事なり。忘れ得ずして 忘却を誓う心の悲しさよ!!」というフレーズを当時の人はみんな言えたというぐらい大ヒットした菊田一夫のラジオドラマを映画化したもの。岸恵子が美しすぎる。そりゃあ、空襲の夜にこんな美女と一晩防空壕で過ごしたら忘れられなくなるでしょ。「会えそうで会えない」の典型的なドラマ。やっと会えたら、人妻。やっと一緒に生きようと思ったら、妊娠…いやはや。ヒロイン真知子が、後見人の叔父やマザコンの夫、義母に案外言いたいことを言っているのが面白い。でも、私にとって一番面白いのは、街の風景。生まれる直前の都会や地方の風景を観ることができるってすごいことです。
☆☆☆

森田芳光監督「武士の家計簿」2010年製作
森田監督の訃報に接し、本作を観てみました。正直言って、冴えがまったくないです。猪山家の変遷を家族の絆といった面を強調して描いてしまったので、家計簿が詳細に残っていたことの面白さがまったく伝わってこなかった。彼らが借金のために家財道具を売り払ってしまうあたりも、そのためにどんなふうに工夫したかが旬のたらの食べ方だけ取り上げられていて、これにもがっかり。地元学をやっていたときに、今と特定の昔、この地と首都圏などの必要経費の比較をしたら面白いと何度か話題に出ていたのでとても興味があったのに。「武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新」というのが新書で出ているので、そちらを読みますかね。☆☆


山下敦弘監督「天然コケッコー」
2007年製作
島根県浜田市の山間部に暮らす中学生がヒロインの話。脚本が「カーネーション」の渡辺あやさんということで観てみた。ただ、原作が少女漫画なのであまり関係がなかったかも。親たちのいろいろな事情に翻弄されるかに見えて、それぞれがちゃんと自分ながらの視点をつくっていく過程がのんびりした山村の風景の中で描かれていく。天然ボケキャラの夏帆がとてもよい。
☆☆☆

石井裕也監督「川の底からこんにちは」2009年製作
どんづまりのOLが、父の病気で家業のしじみ加工工場を引き継ぐ話。高校卒業と同時に駆け落ちし、そのまま5年間、次々と男を変え、捨てられ、転職を重ねたヒロインが故郷に帰ってくる。そこから大活躍が始まるのではなく、相変わらずぐじぐじと「しょうがない」を連発する。でも、気が付いたら、みんな失敗まみれの人生を送っている。男に捨てられ、女に捨てられ…みんな中の下なんだから、がんばらないと!ラスト近くのおばちゃんたちのシーンがめっちゃよかった。
☆☆☆☆


映画を観たり、本を読んだりするのは、自分の人生を肯定したいため、なんだろうか…。

ついでにFacebookには感想をアップした本も。
メモっておかないと、観たことも読んだことも忘れちゃうのだ。

「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たちの情報は正しいか”」(文芸社刊 2011年11月)
武田邦彦、小出裕章、田中優など、原発事故ですっかり登場が多くなった“文化人”の言論をしっかり検証。武田氏は罪深いなあ。原子力安全委員会専門部会の記録がちゃんと残っているのを忘れているのかしら。よくここまでウソがつける。
震災は地震兵器によるものだと真剣に言っている人に出会い、情けないやら、腹立たしいやら、だったけれど、この本を読んだら、どう思うのかしら。それでも、この本こそ陰謀だって思うのかな。情報発信源の一つである某シンクタンクの会長は、無責任すぎる。その陰謀論で地震を起こしたとされた地球深部探査船「ちきゅう」の震災当日船内で何が起きていたかというインタビューや、海外の“怪しい文化人”や情報源など、とても丁寧に検証されています。こういう検証をテレビ番組でもっとやればいいのに。

「エドガー・ソーテル物語」を読了。730ページの大作。ストーリーは、犬のブリーダー一家の現代版ハムレット。米国で人気の本紹介番組で絶賛され、無名の作家の本が140万部のベストセラーになり、世界25カ国で刊行されることに。というのを知っていたわけではなく、なんとなくページを開いてしまった。途中で止めさせない力量はあると思うけど、どの登場人物にも心を寄せられず。人間に対してよい犬をつくるのではなく、その犬にふさわしい人間になれるかどうか、という視点は新鮮だった。犬を飼いたくなる、いや、一緒にいたくなる物語でした。

ついでにBSプレミアムのオペラも。
年末から5夜連続で放映していたミラノ・スカラ座シリーズの中から「カヴァレリア・スルティカーナ」 有名な間奏曲から知ったオペラだったので、全編を通して舞台を観たのはこれが初めて。ストーリーは三角関係のもつれというとてもシンプルなもの。
かつて愛し合った二人が戦争により引き裂かれ、男が戻ってきたら、女はすでに結婚していて、男はあきらめるために自分に思いを寄せる女と婚約。男はかつての女とすぐに寄りが戻ってしまい…と物語はここから始まる。ほんの1時間半ぐらいの上演時間。群衆の中で物語が始まり、終わるというスカラ座の演出がとてもよかった。嫉妬するぐらい愛してしまう、いいなあ。このオペラを聴くたびに胸は騒ぐけれど、もって行き場がない(笑)

春を待つ桜のつぼみ。気合いが入っているよね。

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今年も、よろしくお願いいたします。


posted by 風土倶楽部 at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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