2006年10月02日

暮らしがつくる風景 長崎県島原半島

風景に圧倒された4日間の島原半島出張でした。
どこを見ても、棚田とだんだん畑。

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unzen4.jpg丁寧に積み上げられた石積みの美しいこと。
下から見上げれば、まるでお城の城壁のようにも見えます。
中でも千々石の石積みはすばらしく、かつて大勢の石工がいて、各地に請われて出向いていたそうです。


夕暮れどきの雲仙市南串山地区の丘の上からの風景。
shimabarahanto2.jpg図を参照。
延々と主に馬鈴薯とレタスの畑が海岸端まで連なっています。




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馬鈴薯は北海道、鹿児島に次いで、レタスは長野県に迫る生産高を誇っています。
ちょっと意外だけれど、冬は雪に埋もれてしまう北海道や長野に代わって、作物を作り続けられる利点があるということです。

平地が少ない地形のため、畑や田んぼができそうなところはすべて活用!という感じです。

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日々の暮らしが風景をつくるということをしみじみ感じた秋の好日でした。
もっとも印象に残った風景がこちら。

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南串山地区にあるグループホームやデイサービスセンターなどの複合的な福祉施設「南串山荘」のリビングルームからの眺めです。自分が長年暮らしてきた風景の中で、今も働く人を見ながら、同じ地区で生きてきた人々と共に過ごす。それが認知症の進行を遅くしたり、改善したりする効果を持つそうです。

入居されているおばあちゃんたち(なぜかおじいちゃんは見かけませんでした…)はみんなほんわかリラックスした笑顔でした。

バリ島の高級リゾートホテル「アマンダリ」のカフェの前に広がる棚田の風景を思い出しました。
暮らしていなくても、そこにあるだけでも田園風景というのは人を癒す力があるのでしょう。

ここでも独居老人が増えていますが、いつのまにか同居していても日中は独りぼっち、家族とすれ違ってしまう老人も増えているそうです。
以前より、農業は機械化され、人手がかからなくなったけれど、畑地は増え、収益を考えれば夫婦が中心になって働かざるを得ないからです。

この施設は、地元のお寺が中心になってつくった社会福祉法人による経営で、地元の若い人もたくさん働いていて、定着率もよいそうです。宮崎県から来たというスタッフの男性は、地元の祭や集まりに積極的に顔を出して、地元の暮らしを知る努力をしているとのこと。

できるだけ低料金で充実したサービスを行いたいと努めている施設のスタッフの方の「自分の行く道をつくっているんです」の言葉にドキッ。

地域密着型の老いのあり方にともすれば関心が向いてしまうのでした。

4日間でお会いし、お話したおよそ40名の地元の方々、全員が「ここが大好き。これからも住み続けたい。子どもたちにも住み続けてほしい。できれば」とのこと。

10年後、15年後に次の世代にうまく引き渡せるのかどうか。
全国各地、どの地域にとっても、個々人にとっても今が瀬戸際です。

これから先も、自分が生きて暮らした土地の暮らしがずっと続いていくこと。
内山節さんがおっしゃるように、それが安心できる暮らしの根幹、本当の心の豊かさへの道なのでしょうか。

ふと足元を見ると、デラシネあさだは、またしてもどーすりゃいんだ、と悩ましいのでありました。


ラベル:地域調査 農業
posted by 風土倶楽部 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 長崎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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