2006年12月16日

鳥取紀行その5 羨ましい水使い

シリーズでお伝えしている鳥取県鳥取市上地地区の暮らしの風景、今回は「水使い」です。

yousuiro.jpg集落の中を用水路が走り、水がかなりの勢いで流れています。
深い山を背にした地区ならではです。
この豊富な水が段々畑や棚田を可能にしています。


waji5.jpg


mizutukai.jpgこの水路を止めると・・・
水路にどんどん水がたまってきます。




mizutukai2.jpgあふれてきます。





mizutukai3.jpgやがて道を伝って落ちていき、ごく浅い川のような状態になります。
さて、これは何のためにやるのでしょう。


答えは除雪です。
雪の多いこの地域では、雪が降ったら、冬の間中、こうして道路を水が伝うようにしておけば、積もることも、凍ることもありません。
なんと贅沢な水の使い方でしょう!
思わず英文和訳的な感嘆になってしまいます。

自然の水なので無料だし、手間いらずの除雪です。
ただ1点、難点は足元がびしょぬれになること。
でも、長靴さえあれば大丈夫。
ぜんぜん気にしません。

夏は、この即席の川に山女を放して、子どもたちに手づかみさせるプログラムを最近実施しているとか。
まさに湯水のごとく、です。

mizuguruma.jpg全自動里芋皮むき機です。水流があるから、この中に里芋を入れて、水にからからまわしてもらって、皮を向いていました。用水路が今より幅が広かった時代のお話です。

以前はこの用水路の水を若水として、お正月に取っていたそうです。
ペットボトルの水をうんうん言いながら買って運んできて、ご飯を炊いたり、煮物をしたりしている私からすれば、除雪用かあ、魚の手づかみかあ、と深いため息が思わず出てしまいました。
今では、雑排水が入ることもあるので、飲むことはないとのこと。
贅沢なんだけれど、どこかズレているんだよなー。

集落の中をきれいな水がすごい勢いで流れていて、喉が渇いたら、そこから飲んで、お茶が飲みたかったら汲んで沸かす。ご飯を炊くときには用水路の水を汲んでくる。そんな暮らしって、もう、夢なのかしら。
前はあたり前だったはずなのに。川でだって泳げたし、だいたい魚は川で手づかみするものでしょう。

最近、そういう清浄な世界を見てみたいと強く思うようになりました。
ノスタルジーじゃなくて、昭和30年代に鉄腕アトムに代表されるような未来都市に憧れたように、そういう世界に憧れてしまいます。
未来都市よりも非現実的になっているところが悲しいです。

老人たちから聞く「魚が湧くようにいた」とか、「キノコが山のように採れた」とか、「海藻はいくらでも拾えた」とか、「熊と会うことはほとんどなかった」とか・・・
それはもう夢になってしまうのかしら。そのうち、見たいと思う夢を目をつぶればコンピューターが見せてくれる日がくるのかも。
そんな映画があったっけ。「マトリックス」な世界にすでに足を踏み入れているんですよね。

かつては寒の水でかき餅をつくったそうです。
寒の水というのは雑菌が少ないようで、群馬県の山間部の調査で、こんにゃくをつくって寒の水に入れておけば、かなり長く保存できたというのを聞いたことがあります。温暖化が進めば、こんな話も「神話」になってしまいそうです。

tokugorousan.jpgさて、徳五郎さんが着て見せてくれた蓑は、40年以上も前のもの。
なのに、ほとんど傷んでいません。不思議です。
材料は、「ひるり」という岩に生えている植物を水にひと夏浸してから乾かしたものや、へり皮という、木の皮を剥いで泥につけ、石をのせておき、ほぐれたところでオニガワとアマカワに分けたアマカワです。水に濡れれば濡れるほど強くなる性質があるとか。
農作業をしても重くはなるけれど、濡れないとのこと。
これも不思議です。これを着て、雨の中を歩いてみないと納得できないなあ。
というか、自然の力に触れることが少なくなって、どこかでビニールの方が強いとか、便利だとか思い込んでいるのでしょうね。

石油ストーブよりも、木を燃やす暖炉や薪ストーブの方が体の芯を温めてくれる、空気が乾燥することがないなど、自然のものは心と体にやさしい。でも、使うときはよくても、つくるとき、使うときまでが手間がかかる。使ってからの掃除や手入れが大変。めんどうなことが大嫌いな現代人だから、単純なことほど甦らせるのが難しい。

と言いつつ、便利で快適なマンション暮らしをしている私には何も言う資格はないです。
ああ!床暖房の心地よさがたまらんです。二度と手放せないです。
やわな私と、ナチュラル志向の私がいつもせめぎあって、引き裂かれそうです。
(オーバーなオバハンやなあ)


ラベル:地域調査 地元学
posted by 風土倶楽部 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳥取 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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