2014年02月14日

観劇日記  宝塚宙組「翼ある人びと」

宝塚宙組「翼ある人びと」を梅田芸術劇場で観劇。

ナポさまで泣けなかった私。
でも、これではしっかり泣けました。
ブラームスが大好きで、30代のころ、ピアノ協奏曲2番を何度聞いたことか。
グレングールドによる間奏曲も。
自分の行く末に対する焦燥感に駆られていた若き日々に、ブラームスの曲でぶいずん救われた。
なので思い入れがあって、よけい泣けたのかもしれない。

「月雲の皇子」がとてもよかったので、上田久美子さんの2作目のこの作品は、すごく期待して観た。

やはりとてもよかった。

ブラームスとシューマン夫妻の関係を心のひだまで丁寧に描いた脚本。
3人の関係に加え、当時の音楽界の状況もリストやワーグナーを登場させ、とてもわかりやすい。
偉大なベートーヴェンが築いた音楽の世界を乗り越えようとする音楽家たちそれぞれの生き方、やり方があることで、ブラームスとシューマンのめざすものがいかに高い壁なのかということがわかる。

ピアノの前でベートーヴェンという高い山の頂に辿りついたとして、どうやって越えればいいのかと問うブラームス。才能をうまく使うことができないでいるブラームスに対して、一度は花開いた才能を見失いつつあるシューマンが注ぐ愛情。その夫の気持ちをわかりすぎているクララは、ブラームスの青くささをやさしく包み込む。

臨終の床で、ブラームスに頂から翼を得て、飛び立てというシューマン。
このあたりから、泣けて仕方がなかった。

そして、シューマンを失ったクララはベルリンへ。
ブラームスに対して、クララは自由と時間を失った私は作曲を続けられなかった。だからこそ、あなたは自由を失ってはダメ。音楽の道をしっかり歩みなさいと、送り出す。

30代のころ、毎日のように聴いてはいたけれど、その背景にまで思いをいたるほどの余裕はなかった。
知っていたのは一生独身だったこと。クララとの間になにかがあったらしいことぐらい。
ブラームスの音楽は、光と影の陰影が濃い。そして、その影の部分には重さが感じられる。
今回の上田作品は、この重さの部分を十分感じさせてくれる説得力があった。

交響曲第3番3楽章が、こんなにもロマンチックで切なく聴こえるとはねぇ。

まーくん(朝夏まなと)、緒月遠麻、怜美うらら、主役3人の脚本にしっかり応えた丁寧な演技。
特にうららクララの美しさは、冒頭の宝塚的オープニングのダンスだけで鳥肌もんでした。
クララがこの美しさなら、この作品はきっと素晴らしいと、この時点で確信したほど。
でも、それだけにとどまらず、うららクララは生きることのつらさや苦しみもにじませつつ、上品な色気と豊かな包容力を感じさせてくれた。大人の娘役。素敵〜!!!

愛月ひかるのリスト、澄輝さやと演ずるシューマン夫妻とブラームスを結ぶバイオリニストのヨアヒム、すみれ乃麗のルイーゼ、それぞれとても的確で、安心して観ていられた。
ベートーヴェンのようなもの?なんていう難しい(?)役の凛城きらも、よくやっていたと思う。

おかげさまで一度も眠くなることもなく、作品を堪能できた。
上田さん、このクォリティをずっとお願い!

DSC_0454.jpg


バレンタインデーだったので、出演者のみなさんによる手書きのメッセージが印刷された大きなカード(?)をもらった。
まーくんがカーテンコールで、バレンタインデーに毎年、この作品を思い出してね、と言っていました。
うん、たぶん思い出すと思う…(笑




posted by 風土倶楽部 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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