2014年02月24日

観劇日記 「あひる月13」

王子小劇場で福島県立いわき総合高校演劇部による「あひる月13」を観劇。いわき市に暮らす高校生の今の視点がストレートに伝わってくる内容だった。
震災前と大きく変化した町や周囲、親友との関係性、自分が描いていた未来、大小さまざまな変化を受け止めながらの戸惑い、不安、期待を感性豊かに伝えてくれた。

舞台は高校の仮設校舎のとあるクラス。2013年9月ごろのある朝。生徒たちが交わす言葉は、まさに今風で、そこいらの高校生がわいわいしゃべっている風景となんら変わりはない。クラスには「ヒエラルキー」なるものがあって、3つのグループに分かれている。そのグループの状況を要領よく一人の生徒が説明してくれる。
その要領のよいことといったら!
すんなり高校のクラスにもぐりこめた(笑

そこから一人ひとりが学校に来るまでどんな道筋を通り、なにを感じ、考えているかを語ってくれる。
芝居だからセリフなんだけれど、まるで一人の高校生が赤裸々に自分の心情を吐露してくれるような気持ちになる。

高校なんて遠い世界になっちゃったなあ。
未来が無限に広がっているようで、なにもないような気にもなったり…なにかと感じやすい多感な時期なのだ。

そんな彼らが、震災以来、否応なく変化を迫られ、事実、それまでいた環境が大きく変わってしまった。
そのキズをそれぞれが抱え、あからさまに仲間うちでさえ語らず、日々を過ごしている。
でも、キズは時々、彼らにはどうしようもないなにかを突き付けてくる。

町がどんどん暗くなっていく、育った好きだった場所の自分の記憶が遠くなっていく…悲しさ、あきらめ、苛立ち…

ところが若さのすごいところは、一番のテーマが「どうすれば隣の人を幸せにできるか」なのだ。でも、それを口に出しては言わない。キズをもてあましながら、他者との間合いを探りながら、なんとかよりよいように生きていこうともがいている。

高校生、恐るべし!の内容だった。75分ぐらいの短いお芝居で、観終わるのがもったいないと感じたほど。
会場は満席。
終わってから、階段のところで全員でお見送りしてくれて、おばさんはうるうるしちゃいましたよ。
福島弁がかわいかった〜。

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彼らの伝える話の中に2,3度原発作業員への言及があった。ちゃんと一つのカテゴリーになっているんだな。それも身近な。批判ではなく、一つの現実として受け止めているところに福島があり、彼らの健全性があると思った。

演劇の力も、高校生の力も、思い知らされたひとときだった。
こういう教育ができる先生の力もすごい!
彼らの未来に栄光あれ!

あひる口の缶バッチは、生徒さんたちのデザインだそうです。

DSC_0509.jpg


また、観たい!

posted by 風土倶楽部 at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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