2014年03月12日

観賞日記 「小さいおうち」

やっぱり観た直後にささっと書かないと、めんどうになっちゃって、そのうち忘れちゃうなあ。

映画「小さいおうち」を観て、とても面白かったので原作も読んでみた。
映画が面白かったこともあるけれど、タキさんの遺品の中にあった「赤い屋根の小さなおうち」を描いた絵の説明が映画の中でなかったので、気になって仕方がなくて、原作を読むハメに。

で、結局、原作の中には、そんな絵のエピソードは見当たらず、わからず。
おまけに奥さまは再婚で、ぼちゃんは連れ子だった。

えーっ、そうだったの?とかなりびっくり。
だって子連れの再婚と、初婚で一人息子では、家族や夫婦のあり方がぜんぜん違うでしょ。
奥さまが青年に心を奪われる理由だって違ってくる。
もちろん原作の方が説得力があるわけで・・・。

それと社長がなぜ部下の家でよく飲んでいるんだろう?と疑問だったけれど、たまたま社長が家に来たときのことが、頻繁に来るみたいに描かれていた。

最後の手紙の部分も、映画と原作では違いすぎる。
原作では手紙は渡さなかったけれど、板倉は奥さまに会いに来た。

原作のタキさんと、映画のタキさんの若いころは、イメージがかなり異なる。
映画のタキの晩年を演じた倍賞千恵子が原作のタキのイメージに近い。
黒木華が、若いころのタキで第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したのは、かなりラッキーだった?(笑

まあ、原作は原作、映画は映画として観た方が面白いだろうけれど、映画の方は原作の「毒」のようなものが見事に抜かれている気がする。
子連れの後妻、転職した夫、タキの奥さまへの傾倒ぶり、女中としての誇り、板倉の作品の中の毒・・・。
山田洋次監督らしいといえば、らしいんだけどね。もうちょっと毒があった方が、強烈に残る部分があったと思う。

そして、タキは赤い屋根の家が空襲で焼ける寸前に東京に戻って奥さまに会っていた。
この小説の一番怖いところは、ひたひたと戦争がすぐそこに迫っているのに庶民は一方的な戦況報告をあまり疑いもせず、受け入れていたこと。日常とはそんなものなんだろう。
そんなときでも、恋をして、それがたとえ不倫でも、命を燃やす、それが人間。
とても読みやすい小説だけれど、ずしんとくる読後感だった。映画よりも、ね。




posted by 風土倶楽部 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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