2014年09月12日

舟橋聖一著「ある女の遠景」

昭和40年代に書かれたもの。
母よりも慕っていた叔母伊勢子が、不幸な恋愛で自死。
ところが、その後、伊勢子の不実な相手と不倫関係になってしまう姪の維子。
官能の世界にとらわれて、人生の迷路をさまよううちに、伊勢子の最後に隠された謎に行きつく。
遠い平安の世に同じように愛欲の迷路をさまよった和泉式部日記を愛読した伊勢子もまた、日記を書いていた…。

昭和40年代の風俗がところどころに取り入れられていて、そこが一番面白かった。
ウナギ屋が密会の場所になっていたり、
英国大使館周辺の新築アパートが当時のお妾さんたちの一番多いエリアだったり、
千鳥ヶ淵のホテル(たぶんフェア―モントホテル。懐かしい)が舞台になっていたり…。

それにしてもまったく生活感のない小説。
いったいみんななにをして食べているのだ?
伊勢子、維子、紋哉(議員なんだけど、なにをしているんだか)と変わった名前だらけ。

愛情ゆえなのか、愛欲ゆえなのかわからない悶々とした一人の女の日々をみると、いろいろな女の顔が見えてくる。
でもね、年をとっちゃうと、悶々したことなんて、どーでもよくなるのよね。
あれはなんだったんだろうってぐらい。まあ、そうなっちゃうと、単なるオバサンになったよい証拠でもあるけど。
和泉式部も、最後はどんなことを思ってのかしら。

舟橋聖一は男性なのに、女性の心の動きがよくわかるのね。
同時に「花の生涯」を読んでみたけれど、「奸婦にあらず」と設定が違いすぎて戸惑ってしまった。
なので、途中でギブアップ。
ただ、村山たかという人の人生が、壮絶なことには変わりない。
平和なときに悶々として自死しちゃう女、悶々として、結局、身勝手な男の都合のよい女として生きる女、混乱した幕末に命がけで男に尽くす女、
いずれの遠景も、すでに私には遠いなあ。

と、小説を読むと思うのに、宝塚の作品を観ていると、そうなのよ、そうそう、あら〜っ!そうなっちゃうの〜と、共感してしまう。この差はなんだ?
たぶんどんな男も、女性が演じることで浄化されちゃうのかも。
ロスト・グローリーのちえさまイヴァーノを決して憎めないように。
あーあ、あんなに悪く悪く考えちゃって、ばかねぇ。かわいそう…としか思えないもんね。
だって、ちえさまがカッコよすぎるから・・・。

そこかい…。

これでいいのだ。

退団後も、どこまでもお供しちゃうもんね 黒ハート

posted by 風土倶楽部 at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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