2014年10月18日

観劇日記 「綺譚 桜の森の満開の下」

セルリアンタワー能楽堂にて「綺譚 桜の森の満開の下」を観劇。
坂口安吾の短編「桜の森の満開の下」を藤間勘十郎が構成・演出。

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登場人物は3人だけ。
中川晃教が山賊、市川ぼたんが女、いいむろなおきが、パントマイムで狂言回し役?

生首がたくさん出てくるおどろおどろしい話なんだけれど、「桜の森の満開」という言葉だけで紡がれる世界観が美しく、はかなげで、華やか。ただ、言葉だけなのに…。

桜の花が咲き乱れているほんの短い間の、あの心を騒がせる感じと、たとえようもない孤独がなぜこんなにマッチするのか。命とはそういうもの?

とても意欲的な構成と演出で、始まったときから、胸騒ぎのようなものが迫ってきた。
能舞台というのは、もともと幽玄の世界への窓口だから、もうその空間に足を踏み入れたときから、気分が変わる。能は寝てしまうので、苦手だけれど、能楽堂はとても好き。身を浸していると心が休まる。

鼓とドラや太鼓で一人、笛で一人、二人の女性が音楽を担当。
これがなんともいえない効果をもたらしていて、どんどん世界観に引きずり込まれる。

いいむろなおきのパントマイムで始まるのも、その思いに拍車をかける。
市川ぼたんの美しさは、まさに幽玄の世界にぴったり。
生首をほしがる絶世の美女。それぞれの心に棲む鬼とは、このように美しいものなのか?

中川晃教だけが現代的な風をもっていて、能役者や歌舞伎俳優ではないことが現代のわれわれとの架け橋となって、身近に感じられる。会場は、中川ファンが多いのか、女性客が大半だった。

能楽堂は300人ほどのキャパ。
舞台装置が簡素で、音楽も二人だけだから、シンプルなんだけれど、奥行きが深い。
このキャパで、この内容を味わえるのは、ある意味贅沢だと思った。

文化庁芸術祭参加公演。
能楽堂での意欲的なお芝居を、もっとやってほしい。

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posted by 風土倶楽部 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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