2007年05月25日

田植えの季節に、ぴったりな写真集!

5月は各地で田植えが行われる季節ですね。以前、ゴールデンウィークといえば、岩手に行っていた頃、新緑がまだほやほやの山を背に、多くの人が出ては忙しく田植えをしていた風景を懐かしく思い出す今日この頃。

tanokami 001.jpgさて、そんな田植えの季節にぴったりな写真集を発見しました。「春夏秋冬−田ノ神の里」樋渡直竹さんの写真集です。鹿児島県内のさまざまな“タノカンサァ”が、そこで暮らす人々の生活の風景とともに綴られています。

田ノ神信仰とは「全国各地の稲作地帯に見られる。多くの場合、春耕に先立って山から神を迎えて農作業の順調を祈り、秋の収穫を終えたのち、感謝を捧げて再び送るという農耕儀礼的なものである」(文中引用)私は、初めて水俣の田んぼでこの神様と出会いました。

tanokami 003.jpg田ノ神様は片手にメシゲ(シャモジですね)を持ち、顔はユーモラスで、石像の表情を見ているだけでも、笑っちゃいます。ね、笑っちゃうでしょ、この顔。



tanokami 004.jpgこの顔もまたユニーク。ちょっとフラッシュが光ってしまって写真が見えにくくて恐縮ですが、奥では縁側に座ってお母さんたちが話をしています。「庭先 めずらしいベロだしの田ノ神。二人の会話が聞こえたか。」この写真集、キャプションが、またいいんですよ。

tanokami 002.jpgこれは春の写真。踊りの輪の真ん中に摘んだ花と一緒に供えられているのが田ノ神様です。「田ノ神戻し 旧宿元から新宿元への移動中にレンゲ咲く田んぼで田ノ神の分身たちが踊りだす」
田ノ神様に寄り添った暮らしの一こま一こまが味わい深くて、ページをめくるたびに、自然と笑みがこぼれ心が温まります。


規模拡大、効率化が昨今の農政の方針ですが、この本をめくっていると、「農」とは、本当に、その土地の風土とそこでの人の暮らしに根づき、風景や文化、その地の人々の魂や心そのものなんだなぁと、深く深く考えさせられます。数々の写真を眺めながら、心が和むと同時に、地方に押し寄せている急激な変化を思うと、この写真に写るタノカンサァと、タノカンサァとともにある暮らしが、どれだけ残っているのだろうかと、少し寂しさを覚えます。

「自然の息吹と人間の知恵とが織り成す悠久の景 田ノ神の里」(本の裏表紙)こんな風景が日本にいつまでも続きますように、と願わずにいられない、そんな写真集です。




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posted by 風土倶楽部 at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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