2015年12月06日

「黄金のアデーレ 名画の帰還」

「黄金のアデーレ 名画の帰還」
文句なく星☆☆☆☆☆!
構成・脚本がとてもしっかりしていて、素晴らしい映画だった。
数年に一度しか出会えない震えるほどの感動を覚えた。

オーストリアで成功した富裕なユダヤ人一族が、ナチスにより家族を引き裂かれ、全財産を収奪されてしまう。
二人の娘はアメリカに亡命。かろうじて生き残る。
そのうちの一人マリア・アルトマンが、叔母がモデルとなって、叔父がクリムトに描かせた名画「黄金のアデーレ」を取り戻す話。
国と家族を棄てた心の傷を抱えて生きてきたマリアが、名画を取り返す過程で心の浄化を得ていく経糸に、やはり亡命した友人の息子で駆け出しの弁護士ランディが、自分のルーツを知り、新しい自分の生き方を見つけていく横糸が見事に組み合わされ、一つの鮮明な心に残る名画となったような映画だ。

名優ヘレン・ミレンによりマリアの複雑な心情が手に取るようにわかり、物語の中に入り込むにしたがって、まるでマリアの目になってウィーンの街並を観ているかのような錯覚さえ覚え、途中からずっと涙目になってしまった。悲しみと恐怖の街になってしまった故郷ウィーン。思い出したくない、絶対に足を踏み入れたくないと思っていた、でも、懐かしくて仕方がない街・・・マリアの瞳に映る現代のウィーンが平和だから、ますますその悲しみが濃くなる。
マリアの結婚式が、家族の最後の幸せなひとときとなり、その後、家族がナチスによって引き裂かれていく過程を映画は多くを語らず、的確なシーンをマリアの回想でつなぎながら、伝えていく。

最初は、値がつけられない名画を取り戻すという弁護士としての報酬に目がくらんで取り組んでいたランディが、次第に名画を取り戻す意義を見出していく過程も秀逸。ホロコーストのモニュメントの前で「トイレに行く」とマリアに言って、近くのカフェのトイレに駆け込み、嗚咽するシーンでは、一緒に泣いてしまった。

歴史をこうして振り返ることの大切さをこんなにわかりやすく、細やかに描いた映画は、多くないと思う。
できるだけたくさんの人に見てほしい。

ほんまに感動した〜!!!


posted by 風土倶楽部 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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