2016年01月12日

マグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー「公開ワークショップ」

KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて開催されたマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミーの新春特別講座「公開ワークショップ」に観客として参加した。

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宝塚歌劇団演出家の植田景子さんが、同アカデミーの生徒や応募してきた役者志望の卵たち男女20人たちに、現在東京宝塚劇場で月組が公演中の「舞音(まのん)」を題材に稽古をつけるという画期的な、本邦初の公開ワークショップ。ゲストには、月組の朝美絢(あーさ)、叶羽時の二人が!
新人公演で泣かしてくれた二人ではないの!!!

演劇好きのヅカ友の友人と、これは行かねば!とワクワクして会場へ。
三鷹からは、果てしなく遠い横浜。渋谷駅での井の頭線と東急線の離れ方といったら、まるで沖縄と北海道…
「ちかみち」とあるから、近いのかと思って辿ってみたら、なんのことはない「地下道の地下鉄の道」の略らしい。こらっ!紛らわしいことをするな!

5時半開場で6時から開催。あーさが来るなら、ヅカファンがどっと来ちゃうのでは?と思い、5時45分ごろ到着したけれど、あれっ?というぐらい会場はすかすかしていて、2列目のセンター左よりに座ることができた。景子さんも、あーさたちも、舞台下手のテーブル席。大劇場なら、SS席(笑 

6時に始まるころには、ほぼ8割は埋まっていたかな。
でも、200人ほどの会場なので、とてもこじんまりとした雰囲気。

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ワークショップは、依頼を受けた景子さんとしても、どんな展開になるかまったく予想がつかない、という言葉で始まった。まずは男性は中折れ帽、女性は傘を持っての登場の仕方を学ぶコーナー。
中折れ帽は、宝塚でここぞ!というときにトップスターが、カッコをつけて登場したり、去っていったりするときの定番の小道具の一つ。

これがね〜、一般男子が手にすると、まったくどうにもなんない。
それでも、ずらっと並んだ男子たちが必至で舞音のシャルルの登場シーンをやってみるんだけどね…
直視するのがつらかった…(笑
やがて、公演が終わって駆け付けたあーさが、手の筋をしっかり見せて、きれいにかぶるコツを教えて、やってみせたら・・・あら、ステキ!これぞ、宝塚、ですわね。
傘も、同じく一般女子が手にすると、あーなっちゃうわけね。

宝塚の独自の世界観は、やっぱりすごい。
と、この段階で思っちゃったんだけれど、これから、ますますヅカ的世界構築が目の前で展開されていくのであった。

次は、「舞音」の中のシーンから二つ。一つめは、マノンの「愛なんていらない!」から始まるシーン。マノンが婚約者のいるシャルルをなじり、去って行こうとするのをシャルルが引き止め、愛を告白するシーンだ。
役者は、自分の引き出しの中から表現していくから、5組(だったかな?)の男女のやりとりを見ていると、高級娼婦マノンとお坊ちゃま士官シャルルという役柄には到底みえず、横浜駅の裏道あたりで繰り返されている男女のやりとりに見えてしまう。
景子さんは、マノンとシャルルの役柄の背景と心情を実に細やかに、懇切丁寧に説明し、役者たちに理解を求めていく。そのエネルギッシュなこと!演出家は、誰よりも情熱的であることが必須なのかもなあ。

二つ目のシーンはラストの船の上での二人。撃たれて瀕死のマノンをシャルルが抱えながらのセリフのやりとり。このシーンは、この作品の一番重要なシーンでもある。船の台座に座るのも、客席から美しく見える形をつくらなければならない。マノンは、無理な姿勢を取りながらも、行き絶え絶えになりながら、シャルルへの深い愛情を表現する必要がある。とても高度な技術を要するシーンだから、もちろん今日、セリフを渡された役者たちがするするとできるわけもなく…。
できれば事前に本公演を観て、セリフを入れて、ある程度、作り上げたもので稽古をつけた方がよかったかも。
力量がないのに、読み合わせもせず、いきなりシーンに入っちゃうから、見る方はお尻がずっとむずむずしてしまった(笑

1回目は、コンビを組んだ男女に自由にやってもらい、景子さんがダメ出しをした後に今度はBGMを付けて2回目を演じる。物語に説得力を持たせる役者の力量が問われる。BGMが補てんしてくれるから、それなりに形にはなるけれど、見ている側はいたたまれない…だって、セリフのやりとりだけだと、かなり気恥ずかしいものなんだもん(笑 これはリアルな男性が演じているからという部分も大きいかも。
リアルではない男女が、リアルに夢の世界を作るからこそ宝塚なわけで、そこにリアルな男が入ることで夢が夢でなくなってしまう。そういう作用を実際に目にしてしまったということになる。
コーディネイターの横内謙介氏が、景子さんがリアルな男女の心情を説明して演技を付けているところをみて、そういうリアルさを入れていくのが意外だというようなことを言っていたけれど、この発言自体が男性がみた宝塚なんだよなあ、と思った。
リアルな夢の世界をつくるためには、リアルな心情が伝わらないとダメなんよ。女は嘘を見破るからね(笑

景子さんは、一つ一つのセリフの意味をとても丁寧に細やかに説明してくれたので、もう一度舞音を観たくなってしまったほどだ。

そして、ラストにあーさとときちゃんの二人が、ラストシーンを目の前で演じてくれた。
舞台化粧ではなく、ほぼ素の状態で観られるなんて、宝塚史上初のことだろう。
新人公演のときも、泣かせてもらったけれど、ほんの5分ほどのこのシーンだけで、またまた泣いてしまった。
二人の世界の作り上げ方のすごさに宝塚の神髄を観た思いがした。
まだ新人の二人が、ここまで舞音の世界を一瞬にして作り上げるとは!!!役者は、見る側に任せてはいけないもの。役者が観る側を自分の方にひきつけないとダメなのだ。それが力量。
驚き以外の何物でもないでしょ。
宝塚には、このレベルの生徒たちが日夜精進し、切磋琢磨している。
そこで光って、選ばれた生徒がトップの階段を上っていく。

アカデミーの若者たちが、どのような学び方をしているのかわからないが、宝塚が15,6歳の女の子たちを精鋭集団に作り上げていくシステムこそが100年という時を刻むことができた大きな要因の一つなんだろうなあ。
かねてより、宝塚のお稽古場をのぞけるなら、SS料金なんて軽く出しちゃう!と思っていたぐらい見たかったもの。それをこんな目の前で見せてもらって、おまけにあーさたちの息をするのももったいないようなシーンを見せてもらって、演劇ファン冥利に尽きました。

あ〜、面白かった!
最後に景子さんに聞いてみたかったんだけれどなあ。「まさおのセリフのクセは気になりませんか?」って。

黒岩知事が来場、とても楽しそうだった。今年は、KAATでいくつか宝塚が上演される。
大消費地である横浜での展開は、知事にとっても、宝塚にとっても、得るところが大きそうだけれど、私は遠くてやだな。

posted by 風土倶楽部 at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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