2017年08月01日

日本青年館 宝塚星組「阿弖流為」

日本青年館のこけら落とし公演「阿弖流為(あてるい)」の初日を観劇。まっさらな客席に座ってきました。
1階席センターの前方に座っていたので、後方席からの見え方はよくわからないけれど、列ごとに段差がついているので、視界はとても良好かと思う。
2階席は、センターに転落除けのバーがあって、それが舞台をとても見にくくしているらしく不評らしい。当然でしょう。

トイレが少なくて長蛇の列。今後、宝塚歌劇の上演が多くなるとしたら、改善してもらわないと・・・といっても、トイレの数をそう増やせるものでもなく・・・どうするんだろう。
周囲にビルがないので、同じ敷地内のホテルのトイレでも使うのだろうか。

昨日は、初日だったためか、飲み物の自販機がなく、テーブルを出して富士のなんとやらの水のボトルを1本200円で売っていた。冷やしてあるわけでもなく、なんだかサービスが全般に悪そうな印象。

背広の男性たちがロビーにやたらと立っていた。
事前に利用の多い女性の目線をちゃんと取り入れたのかしら。
立って飲んだり食べたりしている人たちをたくさん見かけた。丸テーブルを設置するとか、座れるスペースを作るとか、もう少し工夫がほしい。

さて、肝心の「阿弖流為」について

礼真琴(ことちゃん)をはじめ、星組の組子たちの熱い心が伝わる素晴らしい内容だった。
舞台奥のセットが開き、中央にことちゃんが現れるオープニングからのダンスのあたりは、ぞくぞくするほどステキだった。イキのいい娘っ子たちの美しいイケメンぶりが華やかさをまき散らしつつも、蝦夷の土着性も、ちゃんと感じられるほど力強いダンスだった。

蝦夷側のメンバーの一人ひとりの個性がちゃんと表現されていて、綾 凰華の母礼、天華 えまの飛良手、音咲 いつき、ひろ香 祐など、みんな好演。
阿弖流為と最後まで共に行動する母礼は、かなり美味しい役。ぶれない母礼を綾がかっこよく、でも出すぎず、絶妙のバランスで演じていた。

特に目を引いたのが、紀広純の輝咲 玲央。蝦夷征伐を目論む朝廷側の大将。押し出しが強く、朝廷の強大な権力を冒頭見せつけた。

鮮麻呂の壱城 あずさは、朝廷側になびきつつも、蝦夷の生き残りに命をかけるという複雑な立場で、蝦夷の心意気を貫く男の生きざまをきっちり演じきった。しーらん、やるやん、ええやん!と、びっくり。しーらんは、ついに代表作を得たね。

柚長さんが、桓武天皇にもびっくり!ぴったりでびっくり!

そして、スター性に目を惹きつけられたのが、瀬央ゆりあ(せおっち)。都で洗練された官僚であり、武人である田村麻呂の位置づけが立ち姿だけでもわかる。ことちゃんの阿弖流為に負けないオーラも、すごい!
田村麻呂が、魅力的でなかったら、阿弖流為のの命をかけた和議が引き立たなくなっちゃうもんね。
せおっちとことちゃん、いいコンビだ!

佳奈の有沙 瞳は、今回は、あまり見せ場がなかった。小柄だから、ことちゃんとの並びがとてもいい感じ。

舞台中央奥と両サイドのスクリーンに登場する地名や名前を映し、わかりやすくしている。
特に地名が耳慣れないものばかりだから、とても親切でわかりやすい。

15,6年前に、この物語に出てくる舞台のひとつとなった岩手県紫波町の循環型まちづくりに深くかかわっていた。当時、地元の人に阿弖流為を知っているかと聞かれ、初耳で、あわてて高橋克彦著「火怨ー北の燿星アテルイー」を読んだ。関西出身の私には、まったく知らない世界で、新しい日本史の見かたに目を見開かされた思いがした。

アラハバキの神など自然を信仰する阿弖流為たち蝦夷の思いこそ、日本人の心のふるさとだと、北上川や早池峰などの山々に囲まれた岩手で仕事をしていたときによく思ったものだった。
今回の星組公演「阿弖流為」には、そんな蝦夷の立場と心情がとてもわかりやすくシンプルに描かれていた。
蝦夷に生まれて幸せだったと言い残し、処刑される阿弖流為に素直に涙できるのは、阿弖流為と佳奈の恋に焦点をおかず、あくまでも阿弖流為や母礼、田村麻呂、鮮麻呂などの主要登場人物たちの生きざまを中心に描いているからだろう。

最近は、阿弖流為を主人公にして舞台化されることも多く、歌舞伎でも観たが、今回の宝塚星組版が、蝦夷たちの思いをとてもよく再現しており、いつか岩手県の阿弖流為と田村麻呂の足跡を訪ねて旅してみたいという思いに駆られた。

阿弖流為の故郷である岩手に仕事で関わっていたこと、日本青年館は、ことちゃんがちえさまに出会った劇場であること、そこでことちゃんが阿弖流為をやってくれたこと、勝手な思いだけれど、ぐるっとつながったような気がして、うるうるしてしまった。

いい作品だ!

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posted by 風土倶楽部 at 15:37| Comment(0) | 極私的観劇日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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