2020年10月17日

映画「スパイの妻」

ヴェネチア国際映画祭は、この映画の何に対して銀獅子賞を授与したのだろう・・・
BS4K/8Kですでに放送されたようで、そちらの説明には「映画監督・黒沢清が、主演に蒼井優を迎え、高精細8K撮影に挑む話題作!戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス」とある。

そういう映画?
信念と愛を貫く女性というより、世間知らずの女が勝手に身勝手な正義感に燃え、旦那との一体感に酔い、ヒロインを気取ってしまう映画に思えた。

時は1940年。貿易会社を経営する福原優作は、大戦前夜とはいえ、神戸の瀟洒な洋館で妻と優雅な二人暮らしをしていた。
妻の聡子には幼なじみで軍人の津森泰治がいる。津森は、聡子に横恋慕している。

優作は甥の竹下文雄と共に仕事で満州に渡り、関東軍の「国家機密」に触れてしまい、証拠のノートと趣味の8ミリで撮影したフィルムを手に入れて帰国する。
そのときに、草壁弘子という女を連れて帰って来るが、聡子は気がついていない。

というのが物語の導入。
ここからはネタバレ


優作が手に入れた情報というのは関東軍の細菌研究の人体実験の事実。
そう、あれですよ、あれ。

この情報を知ってしまった聡子に、情報を持ってアメリカに亡命し、日本を糾弾し、早く負けてしまうようにしたいというワケワカメな主張をし、一緒に行動するようになる。
そんなことで早く負けますかね。
この時点では、まだ、開戦してないし。

おまけに彼が渡航申請していたのは、草壁弘子と自分の二人
渡航申請のできる時期なのだから、亡命しなくてもいいでしょうに。

おまけにその弘子は、竹下文雄が滞在している宿の仲居をしていたが、宿の主人に強姦され、殺されてしまう。

優作は聡子に、聡子と二人で亡命するつもりだったなんて言っているけれど、賛同した聡子に、情報を二つにわけで別ルートで行動しようと提案。

このあたりで、社会状況を少しでも把握できるような女だったら、なんか変?と思っただろうなあ
見ている私は、変だぞと思いましたもん(笑

結果、優作は満州からインドに渡り、そこから、アメリカ行きの船に乗ったとか乗らなかったとか。
死亡報告書は、偽造の疑いが・・・という字幕がラストに
そして、数年後に聡子がアメリカに渡ったという字幕でジエンド

そんなにアメリカがええんかい


優作は、結局、なにがしたかったのか。
アメリカまで行かなくても、インドまで到着していたなら、いくらでもアメリカ領事館などに駆け込むことができただろうに
そもそも満州だか、上海だかの租界に出張してたでしょ。

密航がばれて(たぶん優作の仕業)、置いてけぼりをくった聡子は精神病院に収容されて、大空襲に遭遇するのだが、その前に訪れた優作の恩師に「私は狂っていない。この世の中が狂っているから、私は狂っていることになるのでしょうね(ニュアンス)」とのたもう。

いやいや、当時はみんな狂っていたけれど、あなたも狂っていたのですよ(笑
最後まで、自己愛にあふれていて、自分を客観視できない女、それが聡子

竹下文雄の扱いも、登場人物として、かなり中途半端
一緒に優作と貿易会社をやっていたはずなのに、国家機密に触れたら、もう商売なんてできない、この事実を伝えるために作家になると言って、旅館におこもりしてしまう。
あげくが、爪を抜かれるような拷問の末、情報を持って帰って、公開を企んだのは竹下ということになり、優作は知らなかったでお咎めなし。

そんなことあるわけない。
当時の特高なら、優作も、爪を抜かれるでしょ
担当は、聡子に横恋慕している津森だし(笑

脚本の爪、いや、詰めが甘すぎ〜

結局、この映画は、関東軍の人体実験の映像を世界に広めたいがために作ったような気さえする気分の悪い映画だった。
ヴェネチアは、そこが気に入ったのかしら

「自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス」

ラブ・サスペンスではあるけれど、自己中男女のラブ・サスペンス、かな

星は一つ★

posted by Luna at 15:30| Comment(0) | 極私的観賞日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。